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デジタル版JCKLニュースレター

タイムリー且つ皆様のお役に立つ情報発信を心掛け、毎月1日にお届けしていきます。
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世界的に拡大する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
Movement Control Order (MCO)


 


マレーシア活動制限令

私たちは、世界を席巻する新型コロナウィルス感染症の拡大という大きな渦の中にいる。誰もが初めての経験であり、不安の中で家族を守る、命を守ることを最優先に考え、ここマレーシアに暮らしている。マレーシア政府は国と国民を救済するために日々新しい法令を発令、実施している。マレーシアに駐在・滞在する日本人として、私たちはその法令に従い受け入れなければならない。まだゴールの見えない3月・4月のマレーシアの状況を記録してみる。
 

●2020年3月16日
活動制限令の発表
ムヒディン・マレーシア首相は3月16日22時(日本時間23時)、新型コロナウイルス感染拡大対策について緊急の記者会見を行い、3月18日から3月31日までアジア初の国境封鎖および活動制限令を発表した。公用語のマレー語での会見のため、内容を理解するために地元メディア(英字新聞)や大使館からの情報に頼る日本人が多かったと思われる。

「我々は他国で短い間に数万人が感染する状況を目の当たりにしており、国民は同様の事態をマレーシアで起きることは望まないだろう。国民がこの難局を克服できることを望む。パニックや不安に陥らず、落ち着いて欲しい。我々は、中国等の国々が思い切った対策を取り、感染を急速に減少させた事例を目にしてきている。
食料、生活必需品、マスク等の保健用品は十分にある。国内取引・消費者省が食料供給及び日用品の動向を継続的に注視する。首相を長とする国家安全保障会議が毎日会合を行う。」

*マレーシアでは3月1日に29人だったのが、3月15日に190人、3月16日に125人が新たに発症。首都クアラルンプールのモスクで行われた大規模集会が集団クラスターとなり感染拡大、危機感を抱いた政府がMCOを発動したと言われている。


●2020年3月17日
まずはともかく、情報収集!
社内調整、買い出し、KL脱出などなど、活動制限令の対応に動き始めた一日であった

■3月17日 大使館、日本人商工会議所、JETROでは、各産業団体からの意見聴取が行われた。

■都市部で一人暮らしをする学生や社会人が、学校や企業が突如として閉鎖となったため慌てて故郷に帰省する。「マレー語で「Balik Kampung」つまり田舎に帰る、ホリデー(休暇)」だと軽く捉えて骨休めに里帰りする。そうなれば「家族クラスター」が首都から地方へと拡散してしまう、政府は危機感を抱いていた。それもあってか、州をまたぐ移動は最寄りの警察署から移動に係る許可を得ることと発表され、夜遅くまで多くの市民が許可証取得に奔走した。


●2020年3月18日
大きな混乱もなく静かにクアラルンプールを含む全土で活動制限令が実施された

感染症予防管理法及び警察法に基づき、3月18日から3月31日まで全土に活動制限令(Movement Control Order)が発令された

<活動制限令の主な発表内容>

  • 宗教、スポーツ、社会及び文化活動を含む大規模集会は禁止する。礼拝施設及び商業施設は、スーパーマーケット、公的市場、食料品店、コンビニエンスストア等の日常必需品を販売する店舗を除き全て閉鎖する。 
  • マレーシア人の出国を禁止する。海外から帰国したばかりの者は、健康検査及び14日間の隔離(又は自主隔離)を受けることが求められる。 
  • 観光客及び外国人渡航者の入国は全て禁止する。 
  • 幼稚園、普通科校、寄宿校、インターナショナルスクール、ターフィズ校、初等、中等及び大学入学前の教育施設を含む公立及び私立学校を閉鎖する。 
  • 全ての公私の高等教育機関(IPT)及び技術訓練校を閉鎖する。 
  • 政府機関及び民間企業は、水、電気、エネルギー、通信、郵便、輸送、灌漑、石油、ガス、燃料、放送、金融、銀行、保健、薬局、消防、刑務所、港、空港、治安、国防、清掃、物販、食料供給等の主要インフラを除き全て閉鎖する。 


●2020年3月25日
活動制限令の2週間延長を決定、4月14日まで

ムヒディン首相は3月25日13時にテレビで演説し、活動制限令を4月14日まで延長すると発表した。当初2週間とされていた活動制限令はさらに2週間延長され、その内容も厳格化された。

■食料品や生活必需品の購入のための移動に際し、「自家用車1台につき1人まで」、つまり運転手のみの乗車しか認められない。さらに、その距離についても「居住地から半径10キロメートル以内」のみが許され、合理的な必要性がないかぎり他者の同伴は認められないという状況。

■活動制限令において正当な理由*のない外出をしたとして、野鳥撮影していた日本人や街でジョギングをしていた複数の日本人が逮捕され、罰金1,000リンギの有罪判決を受けた。

■道路上での検問も急速に増加。首都クアラルンプールでは、アプリを使って検問を事前に察知して移動するケースなども見受けられる。現在は警察だけでなく軍隊やドローンなども投入されて監視は強化されている状況。

*具体的には公務、必要不可欠なサービスの営業、ドライブスルーや持ち帰り及びデリバリーによる食料の供給、食料や日用品の購入、医療を受ける又は保険省医務技監により許可された特別な立場を除き、州内での移動(外出)が禁じられている。
 

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2020年3月30日
一部の地区とコンドミニアムで完全な封鎖措置がとられた

イスマイル・ザブリ国防相は、新型コロナウイルスの感染が拡大している以下の地区と建物の完全封鎖を発表した。

  • セランゴール州フルランガットにあるスンガイルイ・バトゥ21~24地区
  • KL中心部の高層コンドミニアム「メナラ シティー ワン」

翌31日から2週間、住民の外出と外部からの訪問を禁止。該当地区と建物の周辺は、警察や軍隊などによるパトロールが強化された。なお、27日には国内で最初の完全封鎖措置がジョホール州クルアンに出されている。


●2020年4月7日
KL市内の集合住宅2棟を完全封鎖

イスマイル・ザブリ国防相は、KL中心部にある低所得層向けアパート「セランゴール マンション」と「マラヤン マンション」2棟を完全封鎖したと発表した。実施期間は、住民ら約6,000人の検査が完了するまでとしている。
 

●2020年4月10日
活動制限令の2週間延長を決定、4月28日まで

ムヒディン首相は4月10日16時、テレビ演説を通じて「活動制限令(MCO)」を4月28日まで延長すると発表した。今回で2度目の延長で合計6週間となった。

■今回の決定により、活動制限令の期間が4月24日から始まったイスラム教徒のラマダン(断食月)にもかかり、バザールの中止やお祈りに影響を与えることとなった。国民の間では、長期にわたる制限で疲れも広がっているが、感染者に歯止めがかからないことから医療関係者らを中心に延長を求める声が圧倒的に多かった。

■警察や医療関係者の間では、「# I STAY AT WORK FOR YOU(私はあなたのために働きます) # YOU STAY AT HOME FOR US(あなたは私たちのために家にいてください)」などとプリントした紙を持って、国民に拡散する動きが広まっている。
 

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●2020年4月23日
活動制限令の再々延長を決定、5月12日まで

 
ムヒディン首相は4月23日20時、テレビ演説を通じて「活動制限令(MCO)」を5月12日まで延長すると発表した。今回で3度目の延長で合計8週間となった。
その後もMCOを延長させる可能性があること、当該措置は新型コロナウイルスの拡大が完全に阻止されたと確信するまで続くことについても発表された。


 
今月の写真 
セキンチャンの田園風景

 
クアラルンプールから北西へ車で1時間半ほどの場所にある稲作と漁業の町、セキンチャン(Sekinchan)。スカイ・ミラーやホタル観賞で有名なクアラセランゴールからは北へ30kmの距離だ。 

セキンチャンは中国語の方言で「農業に適した土地」という意味で、マレーシア屈指の稲作地帯。目の前に果てしなく美しい水田が広がり、時期によっては緑色や黄金色の絨毯を眺めることができる。日本の田園風景を見ているような、懐かしい感覚がなんとも心地よい。二期作のため、田植えは3月と9月ごろ、収穫は6月と12月ごろのようだ。 
ここで収穫された長粒種の香米、玄米、もち米は、田園の中に立つ巨大な精米工場 PLS社で販売されている。また、敷地内に併設されたギャラリーでは、米作り・精米の様子、昔使われていた農機具などを見学することができる。
 
セキンチャンでの楽しみ方としては、新鮮なシーフード料理や果樹園、面白い写真がたくさん撮れるSekinchan 3D Art Gallery、マラッカ海峡の美しい夕焼けを眺める、などが挙げられる。
新型コロナウイルスの感染症が収まったら訪れたい地の一つだ。 


 

2019年度ドネーション贈呈式

2月13日に日本人会にて、日本人会及びJCKL慈善基金主催の2019年度ドネーション贈呈式が開催されました。

岡大使ご夫妻、YAB Datuk Liew Vui Keong首相省法務大臣(当時)もご臨席賜り、昨年11月に開催された第47回日本人会チャリティバザーの収益金RM143,000.00をマレーシア国内11個所の福祉施設及び団体に寄付いたしました。

ご多用中、ご列席いただきました皆様に心より感謝申し上げます。

 

ダトラヒムJCKL慈善基金会長よりデイスプリング代表へ寄付品の贈呈 

中山日本人会会長(当時)よりPJスパスティックセンター代表へ寄付品の贈呈 

会計収支報告と寄付先福祉施設・団体一覧はこちらをご参照ください。

 

大使館からこんにちは
日本産中晩柑(ちゅうばんかん)の輸入開始


                  在マレーシア日本国大使館 経済部 中井泰亮


みかんと言えば、「こたつでみかん」のイメージですが、常夏のマレーシアでもみかんは人気者です。特に中華正月において、みかんは縁起物とされ(みかんは中国語で「橘子」と表記され、「橘」の発音が「吉」の発音と似ていることに由来するようです)、この時期なると、小売店には大量のみかんが並びます。

これまで日本産の温州みかんも、他国産と共に販売されていましたが、今年からは、新たに日本産中晩柑(ちゅうばんかん)もラインナップに加わりました。

「中晩柑」については、少し馴染みのない言葉かもしれませんが、主に年明け頃から5月頃までに収穫される、温州みかん以外のかんきつ類の総称で、種類により収穫時期、形、色、味などは様々で、新しい品種の開発も盛んに行われています。

マレーシアによる日本産中晩柑の輸入については、平成27年1月1日より、マレーシア政府による輸入規制が導入されましたが、平成29年より輸入解禁に向け、生産地やインポーター等の協力を得つつ、マレーシア政府当局との植物防疫に係る協議を実施し、マレーシア当局による日本の生産園地や試験研究機関の視察も経て、平成31年2月15日、一部中晩柑品種(Citrus reticulata種)の輸入がマレーシア政府により許可されました。

昨シーズンは、解禁後の輸入準備期間が十分ではありませんでしたが、今シーズンから本格的な中晩柑の輸入が開始されており、KL市内の小売店で中晩柑の「せとか」や「紅まどんな」が販売されましたので、店頭で見かけられた方も多いのではないかと思います。

また、令和2年2月20日に日本大使公邸において開催された天皇誕生日祝賀レセプションにおいて、愛媛県にご来馬頂き、同県産の「せとか」の試食を行いました。当日は、多くの方にご試食頂き、「甘くて濃厚」、「こんなみかん食べたことがない」等の声が聞かれ、大変好評でした。

日本政府は、農林水産物・食品の輸出を促進しており、日本から世界各国・地域への輸出額は直近10年間で4,920億円(2010年)から9,121億円(2019年)へと2倍近く増加しています(日本からマレーシアへの輸出額は47億円(2010年)から106億円(2019年)に増加)。また、更なる取り組みの強化のため、昨年11月「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」が成立し、本年4月1日より、輸出先国による食品安全等に係る規制対応や輸出に係る国内手続きの円滑化に一体的に取り組むため「農林水産物・食品輸出本部」が設置されました(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hq/index-1.html)。

当館としても、在留邦人の皆さま、そしてより多くのマレーシア国民に安心で美味しい日本産農林水産物・食品をお楽しみ頂けるよう、輸入規制に係るマレーシア政府当局との調整や日本産農林水産物・食品のプロモーション等に積極的に取り組んで行きたいと思います。

なお、当館の活動については、当館HPやFacebookにおいて紹介していますので、こちらも是非ご覧ください。
在マレーシア日本国大使館HP:https://www.my.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
在マレーシア日本国大使館Facebook:https://www.facebook.com/JapaninMalaysia/

天皇誕生日祝賀レセプションにおける
愛媛県産「せとか」の試食

 

今月のローカル食材
<サユールマニス> 

料理講習会 講師 ちはる

前回に引き続き、パンミー(板麺)に入っているローカル野菜を紹介。パンミーには、サユールマニスという低木の若い葉っぱが入っている。マレー語でsayur(野菜)manis(甘い)と言う名前の意味の通り、火を通すと甘い味・風味が出てパンミーのスープをより美味しくする。講習会時にそのように紹介すると、その場で齧ってみる人が何人かいらしたが、残念ながら生ではただの青臭い葉っぱだ。

葉だけをスープに入れて食べるのが人気の調理法だが、若い枝部位と一緒に炒めても美味しい。使いきれなかった場合は、葉だけをちぎって袋に入れ冷凍しておくと便利だ。葉の水分が少ないため、袋の上から砕くとあっという間に野菜ふりかけができる。お味噌汁にパラパラと、野菜炒めに、お弁当の卵焼きも彩り良いものができる。

栄養面でもタンパク質、ビタミンC、なんと言ってもルテインが多く含まれていて目に良いと言われているので、積極的に食べたい野菜だ。

写真(上から)
*パンミースープ風
 イカンビリス(小魚)の出汁と相性抜群
*エビとの炒め物
 生姜を効かせて中華味で
*冷凍した葉を入れた卵焼き
 カツオ出汁ともよく合う

 

今月の漢方
<人参> 

国際中医薬膳師/中医実習生 坪井良和

「漢方薬」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは何だろうか? まだ漢方の勉強を始める前、私が思い浮かべたのは「高麗人参」だった。時代劇にも出てくるし、漢方屋さんに飾ってあるし。韓国のお土産に「高麗人参飴」なんていうのもある。 
さてこの人参、じつは種類も、効能も、お値段もいろいろあるのをご存知だろうか? 
高麗人参の高麗とは朝鮮半島にあった古来の王朝の名前から来ている。朝鮮半島と中国吉林省の境にある長白山が産地とされ、長白山人参、吉林人参とも言われる。標高が高く非常に寒いところが原産で、その性質は体内の「気」を高め、体を温める方向に働く。 
人間の活動エネルギーの源は「気」。 
その「気」が失われそうなときに、素早く補って起死回生を果たす貴重な薬として古来から珍重されてきた。 

ただ、マレーシアは年中暑い。漢方や薬膳で重視されるのはバランス。そのバランスから考えると、暑いマレーシアで高麗人参を頻繁に使うのはちょっと効果が強すぎて、人によっては、ほてったりのぼせてしまうことがある。そこでよく使われるのは「泡参」。西洋人参、美国人参、花旗参とも言われる。日本でいうアメリカジンセンのことだ(写真・下)。 薄くスライスされた状態で売っていて、お値段も高麗人参ほど高くはなく、こちらでは贈答用にもよく使われる。その名の通り、原産地はカナダやアメリカ北部。効用の面で高麗人参との大きな違いは、「体の熱を冷ます作用がある」こと。「気」を補う作用こそ高麗人参には及ばないが、その「気」を体に留めて働きを調整する「陰液」を補充する作用にも長けている。だから、暑さからくる不調に悩まされることが多い当地では重宝されているのだ。 
そのほかにも、普段の薬膳に使われるのは、太子参や党参といわれるもの。マレーシアンチャイニーズのお母さんたちは、様々な人参を上手に使い分けながらスープや涼水を作って家族の健康を支えている。 
泡参はお茶として飲むのが簡単で効果的。「ちょっと疲れたなぁ」なんていうとき、泡参スライス何枚かをカップに入れて熱いお湯を注いで飲んでみよう。クコの実や菊花を入れれば立派な漢方になる。リラックスタイムにぜひ試してほしい。 

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