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JSKLオンライン学習の取り組み


クアラルンプール日本人学校(JSKL)では4月から対面での教育活動を展開してきたが、マレーシア教育省のSOPに従い5月7日からオンライン授業を実施している。パンデミックによる未曾有の事態に直面しながらも、JSKLのICTリテラシーは先生方の経験と熱意、創意工夫により各段に向上しており、今できることにしっかり取り組む児童生徒の姿が見られる。そして自宅でのオンライン学習には各家庭の深い理解と多くの協力が必要不可欠となっている。
本特集では、令和3年度JSKLの取り組みと各家庭での学習ぶりをレポートする。
 
●令和3年度学校教育目標
「たくましいからだ、ゆたかな心、優れた知性と国際性を備えた児童生徒の育成」



●教育の重点(概要)
①【確かな学力の向上】
②【豊かな心の育成】
③【健やかな体の育成】
④【国際性の育成】
 

 

今年度着任された城間 勝 校⾧先生

SOPに従った学校環境整備
  • 教室での人数制限
  • 教室内の机椅子の位置のマーキング
  • 廊下、階段での動線確保
  • 検温、消毒、ソーシャルディスタンス確保のマーキング
  • 掲示物による感染防止、清潔、安全の啓発

座席間隔を1m以上離し配置をマーキング

JSKL独自の新型コロナウイルス感染症対策マニュアル作成
学校で感染防止行動を身につけると同時に、日常での新しい行動様式を身につける。自らを守る行動を身につけることはグルーバル社会での生きる力になると考え、感染対策を指導、徹底している。
 

廊下、階段での動線の確保 

 

🚩令和3年度の活動報告
1年生を迎える会、新入生歓迎会
4月26日に小学部「1年生を迎える会」、28日に中学部「新入生歓迎会」が実施された。 新1年生を歓迎する出し物や学校の様子を紹介する動画やあいさつから、児童生徒の優しさ や思いやりが伝わる会であった。

令和3年度新規派遣教員の着任
約2ヶ月遅れの6月、城間校⾧先生を含む令和3年度派遣者12名の着任がようやく実現。オ ンライン朝会において臨時着任式が行われ、全校児童生徒へ紹介された。

ミニ運動会
オンライン授業で学習した表現運動の発表を行った。練習から本番まで工夫を凝らして実施され、生き生きとして楽しそうな表情があふれた。
 

小学部入学式

中学部入学式

小学部1年生のミニ運動会

 

ICTリテラシー向上
①ICT教育
JSKLでは文部科学省の指針に先駆けて2018年からICT教育についてハードウェアの購入、教職員のICT研修・指導を進めてきていた。昨年の活動制限令(MCO)発令以来、オンライン学習ではその成果が発揮されて充実した内容の授業をオンラインで提供してきている。
②ハードウェア
昨年度中に日本政府からの支援も受けて、iPad 180台、PC 90台を追加購入。これによって現在は殆どの児童生徒と教員に原則 1台/人のハードウェアが貸与出来る体制となっている。
③ソフトウェア
ZoomとGoogle Classroomが双方向の学習に有効だった。また中学部では新たに学習ソフト「すらら」を使用開始し非常に好評である。

◇ハイブリッド授業
居住コンドミニアム内で感染者が出た場合など一定期間自宅待機になるため、自宅待機の教員、教室で学ぶ児童生徒、自宅待機の児童生徒を結ぶといったハイブリット授業も行われてきた。どのような状況下でも授業を継続し、感染防止を第一に進められている。
 

 
◇小学部のスライド作成
2018年からICT教育を進めてきたJSKLでは、その成果が確実に現れているので紹介する。
6年生の保護者に話を伺った。
      
~今6年生の児童は4年生の時からiPadに触れています。オンライン授業の中でも、授業のまとめやグループでまとめた意見の発表の際などにスライドを使うようです。
昨年5年生の国語のオンライン授業で『偉人を調べる』という課題がありました。各自で調べてスライドを作成し、Zoomで画面共有しながらクラスで発表していました(写真参照)。
また、マレーシアの食べ物というテーマでグループでまとめてスライドを作り、授業参観で発表していましたが、画像やアニメーションも取り入れて完成度は高かったです。発表する際のiPadの操作も子供たち自身が行っていました。
他にも、ローカル校とのオンライン国際交流会で日本文化を紹介したりと、ICT教育で習得した知識を活用した学習活動が多く見られます。スライド以外にも、係活動でアンケートをとる際にGoogleフォームを使う児童もいます。子供たちの吸収力は凄いなと感心しています。~
 


 
💻オンライン学習に取り組む児童生徒の様子~
小学部PTA  Aさん​
去年のロックダウンから始まったオンライン授業。最初は親子でiPadの操作に右往左往していました。学校の先生方も試行錯誤の日々だったと思います。外出制限の中、家で学校の授業が受けられるなんて、なんと良い時代になったんだと思っていました。​
これまで、授業参観でしか機会がなかった子供たちの授業を受けている時の普段の様子を、毎日見ることができるようになりました。それは嬉しい事でもありましたが、一方でイライラの種でもありました。高学年の娘はさほどお手伝いをする必要はありませんでした。低学年の息子はというと、初めはデバイスの操作等が分からなくて、つきっきりでした。息子に「椅子にちゃんと座ってね」等、注意することも増えたと思います。​
でも、オンライン授業で良かったこともあります。例えば、息子は絵を描いたり、何かを作ったりするのが好きなのですが、図工の授業を家で受けると好きなだけ時間を使えるメリットがあります。もちろん提出期限はありますが、作品に納得いくまで時間をかける事ができるのは、息子にとって幸せな事のようです。​
オンライン授業は、親が子供と一緒に長い時間を過ごす事ができる反面、先生やクラスのお友達との人間関係や社会性を築いていくのは難しいと感じます。親としては、早く学校が始まることを願うばかりです。​
 
中学部PTA  Bさん​
先生方が子供たちを丁寧に見て下さっており、親として安心してお任せできています。いま中学部では、1日6時間授業のうち2時間が自習の課題配信です。自習というと子供たちがしっかりやれているか心配になるものです。でもJSKLの中学部の担当教科の先生方は、自習の時間内もご自身のZoomのお部屋を開いていて、子供たちは好きな時間に入って直接質問ができるようにして下さっています。​
また、課題をGoogle Classroomに提出すると先生から返却されるのですが、自己採点しているものもしっかりと細かく直して下さっているのには本当に頭が下がります。先生がコメントを書いて下さったり、提出したレポートの点数が表示されたりするのも張り合いがあるようです。また、中学生は勉強がちゃんと身についているのかも気になりますが、小テストも各教科でZoomをつなぎながら行って下さっています。
先生方の細やかなケアのおかげでモチベーションを維持し、毎日緊張感を持って過ごせているようですが、友達や先生と学校で対面できる日を待ち望んでいます。
 

 


 
💕JSKLの4つの相談室
この4つの相談室は、子供たちだけでなくJSKL保護者も気軽に相談でき、利用されている家庭も少なくない。十分な体制が整っているので、子供たちの成長をサポートするために有効活用したい。
 
「子育て相談室」
  • 学校医のバラトよしみ先生(日本語)によるカウンセリング。
  • 専門的な知見から不安や悩みの相談に応じてもらえる。
「心と身体の健康相談室」(旧オンライン保健室)
  • 養護教諭による児童生徒の気持ちを和らげるお手伝い。
  • 話を聞いてほしい、やる気が出ないなど、どんなことでも気軽に相談できる。
「教育相談室」
  • 教育相談担当教員による学校生活全般に関する教育相談。
  • 児童生徒は友人関係、学習、家族などに関する悩みを相談できる。
  • 保護者は気になることや心配なことを相談する。
「特別支援教育相談室」
  • 特別支援教育担当教員による発達や教育に関する相談。落ち着きがない、友達とトラブルが多い、学習につまずきがある等。
     
幼稚部
教育目標【心豊かで誰とでも仲良くできるたくましい子ども】
幼稚部は6月1日より休園となりオンライン保育が行われている。午前に「朝の会」と「主活動」、午後から自由参加のお楽しみタイム「もぐらタイム」や園児たちの語らいの時間「ぴーちくタイム」があり、生活習慣を崩さず幼稚園での学びを継続し、楽しい時間を過ごすことを目標に行われている。オンライン保育期間も早寝早起き朝ごはんで頑張っていこう!
 

オンライン保育の様子①

オンライン保育の様子②

オンライン保育を自宅から行っている様子

 
幼稚部PTA Cさんのコメント

JSKL幼稚部のオンライン保育は朝の会から始まります。朝のおうたを歌い、日付の確認やお名前呼びをした後は本日の活動です。その内容は製作、EC、音楽、運動と日替わりで様々です。
長いオンライン生活ですっかりZoomの使い方をマスターした娘は、先生の画面をピン留めしたり、ミュートを外して発言したり、一人でオンライン保育をこなします。母が何も教えなくてもパソコンを使いこなす姿をみて、デジタルネイティブとはこういうことかと感心しております。
ただやはり通常の対面保育と比べると、保育時間もお友達との関わりも少なく、先生からの一方通行になりがちだなぁ、と感じていましたが、そこはさすがの先生方!  今年度から園児3~4人程と先生との少人数で自由にお話する「ぴーちくタイム」を設けてくださいました。先生やお友達と自由にたくさんお話できる時間ができた娘はとても嬉しそうにしておりました。
成長著しい年ごろの娘にとって、お友達との関わりの中で得るものは大きく、この長引くオンライン生活でどれだけの機会を失っているのだろうと思うと、一日も早く対面での幼稚園が再開できると良いなぁと願うばかりです。
 
終わりに…
JSKL通信の中に「新学習指導要領にある目指す資質・能力」が掲載されていたので紹介する。
「予測困難な社会の変化に主体的に関わり、感性を豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくか、どのように社会や人生をよりよいものにしていくかという目的を自ら考え、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手になる力を身につけられるようにすることが重要である。」
コロナ禍というまさに予測困難な社会の変化にいかに主体的に関われるか。家族や誰かのために、あるいは自分を高めるために有意義な日々を過ごせているか、まずは大人がその姿勢を示していきたいと考えさせられる機会になった。

理科実験の授業風景

 

 
 

今月の写真
<ブルーモスク


ブルーモスクの愛称で親しまれている「Masjid Sultan Salahuddin Abdul Aziz Shah」。シャーアラムにあるマレーシア最大のこのモスクは最大収容人数2万4000人とされ、遠目からでも圧倒的な存在感を放っている。

このモスクの特徴は、直径約51mの特大ドームと高さ140mを超える4本のミナレット。ミナレットはアザーン(礼拝への呼びかけ)を流す役割を果たしてきたが、建築装飾の要素も大きく、円柱型、角柱型、折衷型、鉛筆型、つくし状(各層ごとにバルコニーを張り出したタイプ)など様々な形状があるようだ。
この写真はモスク南側にある公園の湖の対岸から撮影したもので、湖面にモスクが写るスペシャルな場所として知られる。昼間は青と白のコントラストが鮮やかで美しく、夕暮れ時の景観も幻想的で素晴らしい。

荘厳な佇まいを見せるブルーモスクは、イスラム建築の美しさや異文化に存分に触れることができる観光スポットとして、これからも多くの人が訪れることだろう。

 

 


 かとれあ会<ボランティア活動紹介>

【第1回 福祉施設ボランティア活動連絡係連絡会】
婦人部かとれあ会では、活動の一環として【ブキナナス身障者施設】と【PJスパスティックセンター】の2か所の福祉施設でボランティア活動を行っております。

7月15日に福祉施設ボランティア活動連絡係の皆様とかとれあ会役員との第1回連絡会をオンラインで開催しました。主な活動内容、現状の活動報告と今年度の活動計画、問題点などを話し合いました。MCO の発令により、施設への訪問がかなわず思うようにボランティア活動ができておりませんが、この状況下でもできうる活動を模索し前向きに考えてくださっているご意見をお伺いしました。事態が収束し、ボランティア活動が再開できることを心より願っております。

次号では、ブキナナス身障者施設とPJスパスティックセンターを詳しくご紹介いたします。













​かとれあ会新役員と役職変更のお知らせ
★新役員 城間 真智子(会計)
★役職変更 井谷 百合子(会計兼広報→広報兼渉外)
 
どうぞよろしくお願いいたします!

 
 

 


大使館からこんにちは

<コロナ禍の深夜の領事メール、コロナ前のイスラム学校教師招へい事業> 

在マレーシア日本国大使館
政務部 井谷哲也

 マレーシアの大使館に着任してから2年が経ちました。そして、そのうち1年半は新型コロナとの日々です。在留邦人の皆様への新型コロナ関連の情報発信については、大使館内の各部が協力して、領事メールの発出、大使館のホームページの更新作業を行っています。特に、政務部では、マレーシア政府による規制措置に関する発表を確認することが日課となっています。マレーシア政府の発表は大抵夕刻以降、場合によっては土日に重大な発表が行われることも多いので、できるだけ早く皆様にお知らせすべく、領事メールの発出が深夜や週末となり、ご迷惑をおかけしています。また、皆様からいただいた照会事項の内容によっては、東京の本省に確認したり、マレーシア政府の国家安全保障会議(NSC)、入国管理局、国家警察やその他の関係省庁に大使館から直接照会したりして、回答を得るようなこともあります。ただし、即座に回答が得られない場合もありますので、ご理解いただければ幸いです。
 
 さて、新型コロナの影響で、大使館が実施する文化事業など様々な事業・行事が実施できなくなっています。今回は、その中で、イスラム学校教師招へい事業について紹介します。この事業は、イスラム学校の先生を日本に招いて、学校視察や宗教間対話、ホームステイ等のプログラムを通じて、日本の教育制度や日本人の宗教観・価値観に対する理解を深めてもらって、帰国後、所属の学校でそれを広めてもらうことを期待して実施している事業です。元々、東南アジアでは2004年度にインドネシアで始めた事業で、マレーシアでも2016年から実施しています。当時、私は本省で勤務していましたが、この事業にインドネシアと本省との両方で携わっていた先輩職員と一緒に他のイスラム教国に出張する機会があり、この事業の意義と対象国を拡大させていくという熱意のこもった話を聞き、この事業に関心を持っていました。そして、偶然、マレーシアに赴任したことで、この事業に実際に関わることができました。
 
 マレーシアでは、これまで国内8州から延べ40人の先生や引率者が参加して日本を訪問しています。2019年秋に訪日した一行は、東京・神奈川では、国連の持続可能な開発目標(SDGs)について先駆的な取組を行っている学校や外務省を訪問し、京都ではお寺を訪問して宗教間対話を行い、広島ではホームステイをしながら平和について学び、大阪から帰国の途につきました。
 

 

 
 そして、実施後のフォローアップとして、2020年1月、私は、参加した先生の1人が所属するヌグリ・スンビラン州のハジ・モハマド・ヤティム宗教中等学校(SMAHMY)を訪問し、同校教職員及び生徒との交流の機会を得ました。国が違えば勝手が違うので、日本国内の取組をそのまま持ち込むのが難しい場合もあれば、マレーシアの方がその国にあった優れた取組を行っている場合もあります。それでも、そこで学ぶ生徒達が将来のことを考えるに当たって、先生が、数ある国の中で、日本に留学する、日本企業で働く、日本に旅行する、日本人と交流するなど、様々な可能性を生徒達に示すことができるということは、意義のあることだと思います。
 

 

 
  この事業では、まだ、サバ州やサラワク州などの先生を日本に呼べていません。パンデミックが収まれば、是非事業を再開したいと考えています。来年2022年には、マレーシアの「東方政策」が40周年を迎えます。ビジネスも留学もその他の交流についても、人の往来が正常化する日が早期に訪れることを心から願っています。
 

 
今月のローカル食材​
<干しキュウリの爽やかそうめん>

~干して旨味が増したキュウリ&カラマンシーを使った爽やかそうめん♪~ ​

 

キュウリは生で食べるよりも干して使うと、味も食感も三倍以上よくなる。「えっ!キュウリを干すの?」という驚きの声が聞こえてきそうだが、キュウリはこんなに美味しかった?! という新境地に至ること間違いなし。​
今回は爽やかな酸味と甘みが特徴のカラマンシーを使い、いつものそうめんをマレーシアならではの味に。ザル一枚が日に当たる場所があればできるので、是非おうち時間を活用して作ってみよう! ​

★干しキュウリの秘密 ​​
干すことで水分が抜けて野菜の青臭さが抜け、旨味や栄養価が増す。干しキュウリの美味しさを知ると、生キュウリを物足りなく感じるほどだ。食品ロス1位と言われるキュウリを使い切る調理法でもある。
​​​

*材料 (1人前) ​
  • キュウリ 1本​
  • 生姜 2cm 千切り​
  • ニンニク 1粒 粗みじん切り​
  • 鷹の爪または乾燥チリ 少々​
  • カラマンシー 2-3個​
*漬け汁
  • リンゴ酢 大さじ1
  • ゴマ油 大さじ1
  • 砂糖 大さじ1
  • 醤油 中さじ1
  • 塩 6つまみ程度
  • 水 大さじ3
*煮汁​
  • 薄切り豚肉 100g
  • 酒 小さじ1
  • 白だし 中さじ1
  • 塩 少々
  • 水 300cc ​​

カラマンシー

①1cm幅に切ったキュウリを日干しする。2時間後くらいに上下を返し、合計5時間程干すと丁度良い感じに。

②水分は残っているものの、少し軽くなり皮が縮んでいればOK。キュウリは軽く水洗いする。

③鍋に少量の油を引き、生姜とニンニクとチリを中火で2-3分炒める。

④予め合わせておいた漬け汁を一気に加え、沸騰させる。

⑤キュウリを入れて30秒ほど馴染ませ、火を止める。 ​​
 ​​

⑥粗熱が取れたら容器に入れ、冷蔵庫で一晩寝かせる。 

⑦翌日、上記煮汁の全材料を鍋に入れ、煮汁が半量程度になるまでしっかり煮る。そのまま人肌程度まで冷ます。 

⑧そうめんは沸騰した湯に入れ、軽く混ぜたら火を止める。蓋をして4-5分蒸らし煮にする。冷水で揉むように洗いザルにあげる。

⑨漬け込んであるキュウリは汁とキュウリに分ける。

⑩汁の方にカラマンシーを搾り入れる。(種は取り除く)

⑪麺を器に盛り付け、漬け汁と豚肉の煮汁20cc程度を味見しながら加えて軽く混ぜる。 ​​

⑫キュウリと豚肉を盛り付ける。かき混ぜながら食べると美味しい!

*このシリーズで紹介して欲しい食材や調味料・スパイス等あれば、事務局までお寄せください。office@jckl.org.my

 


今月の漢方
<いつまでもハツラツ、ツヤツヤな耳を>

 

国際中医薬膳師/中医実習生 坪井良和


 

耳ツボというのを聞いたことがあるだろうか?小さな耳に体の各器官をぎゅっと当てはめ、対応する部分を刺激すると体質改善や美容に効果がある、というものだ。 ​​

中医の診療においても、耳に小さな粒を貼り付けて継続的に刺激を与えることで慢性疾患を治療したり、直接患部を処置するのがためらわれる治療に耳にある反射区を応用することがある。ただ、写真を見てわかるように、小さな耳にツボや反射区がいっぱい。これを自分で一つ一つ鏡で確認しながら刺激していくのはかなり骨の折れる作業ではないだろうか? ​​

「治療のために食欲を抑えたい」、「慢性疾患を改善したい」という場合には、耳ツボ(中国語では耳穴療法)を取り入れている医師に相談を。もうちょっと気軽に「お肌に張りが欲しいな」、「顎のラインをすっきりさせたいな」、「最近目の疲れや肩•首のコリが取れないな」というときには自分で耳をマッサージするとよい。​

耳は東洋医学でいう「腎」の状態が現れるところ。「腎」はヒトの受胎から成長、生殖をつかさどる一連のシステム。だから歳をとると耳が聞こえにくくなったり、同じく腎によって代謝がコントロールされている骨や歯ももろくなると考えられている。  ​

以前、メイクアップ講師に話を聞いたことがある、「歳を重ねてもハツラツとしている人の耳はとてもツヤツヤしている」と。とくに耳輪の部分は普段日に当たりやすく、かつ、お手入れがおざなりになりがちで、首と並んで年齢が出やすいとのこと。方法は簡単。毎朝毎晩の顔の手入れと同時に耳全体もケア。保湿剤や日焼け止めを顔や首に塗った後、その手でそのまま耳も優しくマッサージ。耳の付け根や耳たぶ、耳輪の部分を前後上下に優しく引っ張る。耳から顔にかけてほんのりあったかくなってくるのが目安。 ​​​

ただし、耳への過度の刺激はご用心。とにかく優しく、優しくするのがポイント。とくに、妊娠中や頭痛持ちの方、高血圧などの疾患のある方は、かかりつけの医師に必ず相談しよう。 ​​

 
 

 

  今月のおうちdeエクササイズ  


当会の「呼吸法&体幹ゆるトレ同好会」NICO先生に、自宅で実践できる室内運動をご紹介いただく。

NICO先生からのメッセージheart 
皆さんこんにちは!
今回は①長期のおうち生活により落ちやすい脚の付け根の筋力と②硬くなりがち&丸くなりがちな背骨の2点に焦点を当てた簡単エクササイズ類を皆さんと是非行いたいと思います。段差などでの転倒予防や猫背の改善にも効果的でおススメです。
胸を反らせるエクササイズではお腹を突き出したり腰から反らないように、お腹をしっかり引き上げて両肩が同ラインに並んだ状態で胸から上だけを天井に突き上げるようなイメージで行ってみて下さいね。
wink

 

①00:15~ 片脚バランスー体幹、脚&腕の筋力強化とバランス力の向上 
②02:48~ お膝の上げ下げ運動(前方バージョン)ー脚の付け根の強化(腸腰筋)
③04:13~ 脚の付け根のマッサージ
④04:57~ お膝の上げ下げ運動(横バージョン)-脚の付け根の強化(腸腰筋)
⑤06:32~ CATエクササイズー背骨&背骨周りの筋肉の強化とストレッチ
⑥09:02~ 膝立ち(余裕があれば立った状態)での腰と背中のストレッチ&胸を反らせるエクササイズ
⑦12:25~ お膝のスロースウィングエクササイズーおしりの横の引き締め
⑧15:10~ 楽ちんマッサージ&くつろぎストレッチ

安全&効果的におこなって頂く為に、最初から通して実践することをお勧めします。

 
 

えっ!マレーシア
<イスラム暦の新年 Awal Muharramはどう過ごす?>


今年のイスラム教徒の暦、ヒジュラ暦の新年Awal Muharramは8月10日になる。マレーシアのムスリムは新年(元日)をどのように過ごすのだろうか。因みにヒジュラ暦とはイスラム教の預言者モハメッドが中東の聖地メッカからメディナに移った、聖遷(ヒジュラ)した年を起年とした純粋太陰暦である。 

周囲のムスリムの方々に伺ってみると、新年が金曜日にあたればモスクに行くこともあるという方、毎年モスクでコーランを唱え祈るという方と宗教的な行事はあるが、親族で集まることも、特別な会食も特別な飾り付けもないという。どうも正月感、祝祭感は薄いようである。年が変わることでムスリムとしての善行悪行の記録簿のページが新しくなり、新年の誓い、抱負、幸福を改めて想い、静かに祈る日という位置付けであろうか。 

マレーシアの人口7割ちかくを占めるイスラム教徒の暦、ヒジュラ暦の新年。細く輝く月から始まる新しい一年がよい年になるように願いたい。 

 
JCKLニュースレター
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