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デジタル版
JCKLニュースレター

タイムリー且つ皆様のお役に立つ情報発信を心掛け、毎月初旬にお届けいたします。
 

  Part 1  WithコロナQ&A
 


世界中で急速に増えているオミクロン株の変異ウイルス「XBB.1.5」。これまでの変異株の中でも感染力が一段と高いとされ、引き続き感染対策と予防に努めていきたい。
今回は、長引くコロナ感染症に対する私たちの質問に、当会会員向け健康相談室でお馴染みのバラトよしみ医師に答えていただいたので紹介する。
 

Q1.  マレーシアでのワクチン追加接種の状況

マレーシアでは、18歳以上の98%、12歳から17歳の91%、5歳から11歳の43%が2回接種を完了しており、3回目接種はマレーシア人全体の49%、4回目接種は2.4%のみが受けている。
また、5歳から11歳の3回目接種と、5歳未満の子供の接種は持病(基礎疾患)持ち、免疫低下疾患の子供のみに限定して進められている。
(KKMNOWより) (2023年2月時点)


Q2.  2価ワクチンのマレーシアでの接種

2価ワクチン (新型コロナの従来型ウイルス、及びオミクロン株のBA.1、BA.4/5等に対応) はマレーシアでも入手出来るはずだが (1月末には可能となると言われていた)、その接種対象となる条件は、既に従来型対応のワクチンの接種を2回以上受けていて、年齢が12歳以上であり、前回の接種から5ヶ月以上経過していることとなっている。既に接種を受けているワクチンがPfizer、AZ、Moderna、CanSinoであれば誰でも2価ワクチンの接種が受けられることになる。



 
Q3.  現在マレーシア国内で使用されているワクチンの種類

現時点でマレーシア国内で使用される主なワクチンの種類は以下の通り。

  1. ファイザー(5歳以上へ接種可)
  2. アストラゼネカ(18歳以上へ接種可)
  3. シノバック(5歳以上へ接種可)
  4. カンシノ(18歳以上へ接種可)
  5. シノファーム

上記のほか以下のワクチンも条件付き承認されているが、マレーシア国内での流通は非常に限定的で、基本的に接種不可と考えた方が良い。
 ジョンソンエンドジョンソン、モデルナ、コバキシン


Q4.  XBB.1.5の特徴、重症化率、リスクなど

オミクロン株XBB.1.5系統、ニックネームKrakenはBA.2.10.1とBA.2.75の組み換えからなる新株で、従前株より感染力がより高い系統であるが、既得免疫効果で重症化はし難いと言われているので、感染者が短期間で増えはしても死亡者は少なく、感染しても軽い風邪を引いた様な症状を引き起こす程度で済んでいる様である。この新株の重症化リスクについては現時点では十分なデータが無いというのが実態である。


Q5.  コロナの症状が酷くなった場合の受診場所・方法

今風邪を引いた様な症状で熱が高い、更に凄く咳が酷いなら直ぐに受診し、出来る限り新型コロナのPCR検査と、インフルエンザのチェックをして頂きたい。
自己検査のRTK検査でも陽性の結果が出ていて、しかも高齢者、持病持ちなどだったら早めに私立総合病院の救急外来 (EMERGENCY) に出向き、コロナ陽性だと告げて診察を受け、新型コロナウイルス用の抗ウイルス剤を処方して貰うのが良い。この薬は通常5日分が処方されるが、出来れば症状が始まって3日目までに服用を開始するのがより効果的である。服用開始が早ければウイルスの量が増えずに済むので症状が軽く済む。もし薬を飲みだしても48時間以上熱が続く、或いは症状が悪化 (息切れ、めまいが出る等) する様だったら再度早めに同じ私立病院の救急外来に出向いて欲しい。
高齢者でも持病持ちでもなく症状が軽いなら、先ずMySejahteraで自己報告をし、自宅隔離をして頂きたい。通常隔離期間は7日間だが、無症状、軽症の場合は4日目にRTK検査をして結果が陰性だったら、それをMySejahteraで自己報告すれば5日目からは隔離解除となる。
濃厚接触者の概念はもう既に無いので、たとえ自分が感染しても家族は仕事、学校などに出てよいことになっている。だが、やはり家庭内での感染を防ぐ為に、最初の症状 (ちょっと鼻水が出る、喉に違和感がある等) の段階で家庭内隔離 (部屋を分けて一人で寝る、換気を頻繁にする、家でもマスクをする等) をすることが大切である。


Q6.  日本に比べてマレーシアでの日々の新規陽性者数が著しく低い理由

マレーシア人の殆どが本気で規制のルールを守ったのはデルタ株までの様に感じる。2021年の末からはオミクロン株が主流になって規制緩和がかなり進んでPCR検査が義務付けられなくなり、自己検査・自己報告が許されるようになった。PCR検査は料金が高くて結果が出るのが遅いので、マレーシア人の殆どが好まない検査方法であり、高熱、重度な症状でない限りは受けなくなった。
RTKの精度はPCRの98%に比べると50~60%なので偽陰性も多く、また陽性を示すまでに時間がかかってしまうケースも多い。一方その間に感染はもちろん拡大するので、それを過去1年繰り返したことによって、かなりコロナはマレーシアには根付いてしまっている様に思う。以前の様にPCR検査を義務付けしないと実際の感染者数は分からないが、コロナ流行から3年が経過し、既に集団免疫が達成出来ていると思われるので、今はむしろ経済面、精神面のケアが必要だと思う。


Q7.  中国での感染拡大によるリスク (中国で広がる変異株は既存変異株?)

中国は中国独自のゼロコロナ政策で過度な規制をここ3年間やり続け、結局風邪のウイルスと同様にコロナウイルスを全滅させる事は人類の今の有り方では不可能だと結論を出し、外から見るととんでもなく急な政策転換をしてコロナを中国国内で爆発的に蔓延させて世界をストレスに追いやっている。3年間の世界からの隔離で中国での変異株も確実に出来ていると思われるので、それらに今後他の国の人間たちは晒されていくことになるが、コロナ集団免疫は他の国々では既に達成されつつあり、また有効なワクチンも有り、更に抗ウイルス剤を含めて色々な治療方法も確立されてきているので、2020年の様な状態にはならないと思っている。但し、高齢者、持病持ちはやはり定期的に予防接種を受けるのがベストだと思う。


Q.8  MySejahteraの活用等に関する最新情報

MySejahtera内にある「臓器提供の意思表示」以外の機能については廃止すべきだと思う。今回のパンデミックで明らかにダメージを受けたのは精神面だと思っている。人間には心を癒す時間と場所、それと人と人の接触、繋がりが不可欠だ。また人間にはプライバシーも必要である。MySejahteraで行動の全てをコントロール (管理) され、自分の地元 (近隣) の知らなくても良い様な感染症の情報を一般人が把握したところで、パンデミックでない限り良いことは何一つ無いと思う。
MySejahteraは既にその役目を終えたので、もう廃止するべきだと考える。



 

 

  Part 2  マレーシアの医療事情

 


日本と遜色ないマレーシアの医療レベル
クアラルンプールとその近郊の主な病院は、診療レベルや設備面で日本の病院と比べて引けを取らず、邦人が診療を受けるのに特に問題はないと思われる。しかし、日本と大きく異なる点もあるので注意が必要だ。


①国公立病院・私立病院
<国公立病院 General Hospital等>
診療費は比較的安いが、医師の数、技術、入院施設等の一般的体制の充実度が日本に比べて低いため、日本人にはあまりお勧め出来ない。
<私立病院 Private Hospital>
国公立病院のように終日混雑しているわけでもなく、設備も新しく清潔だが、治療費はかなり高額。
健康に自信がある人でも、日本を出国する前に海外旅行傷害保険などに加入しておきたい。

私立病院での入院費用の目安
デング熱:RM8,000~RM15,000
出産入院:帝王切開RM18,000程度 普通分娩RM10,000程度

  • 保険加入者は保険証書を提出する
  • 勤務先からの支払保証書またはクレジットカードの提示を求められる
  • 手術/高度な検査機器には相応の保証金を請求される
    (払わない限り一切処置してもらえない)
  • 入院時にデポジットが必要 RM5,000~
    手術を含む入院の場合は見積額の8割程度~全額
  • 部屋代:個室RM280/日 ニ人部屋RM180/日 四人部屋RM120/日
  • その他費用:回診費、手術代、検査代、投薬費など
    (夜間・土日・祝日は割増料金が発生)


日頃の備え
常用薬や病歴、手術歴、薬アレルギーの有無などを英文で準備しておくこと。
利用したい病院を決めておき、事前に病院見学しておくとよい。

 

②一般医と専門医
日本と異なる一般医制
一般医 (General Practitioner) と呼ばれる医師が、総合病院やクリニックにおいてプライマリケアを担当する。病院の急患窓口で診ている医師も、街の小さな診療所で診ている医師も一般医である。ファミリードクターともよばれ、健康上の相談を幅広く受ける家庭医でもある。
専門医 (Specialist Doctor) 
初診を担当した一般医によって専門性が必要だと判断された場合、専門医が紹介される。
特筆すべきは、私立病院では専門医が個々に病院側と契約し、病院内に個人のクリニックを開業している点だ。そして同じ診療科目でも複数のクリニックが入っているため、どのクリニックに掛かるかは患者自身が選ばなければならない。ネットで評判を確認したり、病院所属の日本語通訳者に相談するという手もある。
もちろん後から医師を替えることはできるし、セカンドオピニオンを求めることも当地では一般的であり、躊躇する必要はない。

処方薬
医薬分業が実施されていないため、院内の薬局で薬を受け取る。

セカンドオピニオンを求めることは一般的

支払いを済ませた後に院内の薬局で薬を受け取る
 

③救急車
<救急搬送は日本とは全く異なる>
緊急番号999に電話すると例外なく国公立病院に運ばれるが、国公立病院ではマレー語しか通じないため注意が必要だ。また患者数が多く混雑が激しいため、救急で運ばれてもすぐに診てもらえないと思ったほうが良い。

私立病院の救急車、または民間の救急車を利用しよう!
(有料) 


 
救急車利用上の注意点
  • 希望の搬送先病院を決めておき、連絡先は普段から目の届く場所に置いておく
  • 救急車を所有していない私立病院に行きたい場合は、民間の救急車を呼んで希望搬送先を伝える
  • 料金は昼間RM400-500程度 休日/夜間 RM500-600程度(料金は距離、病院による)
  • 電話で自分の住所・電話番号・具体的な症状を英語で伝える
  • 電話を掛ける人が動転するため、持病/常用薬/薬アレルギー有無などを英語で控えておく
  • タクシーを利用する手もあるが通勤時間帯の渋滞に注意
 


民間救急車
First Ambulance 
 Tel 03-7785-1919/1300-881919
Lifeline Ambulance
 Tel 03-7956-9999


KL近郊の日本語が通じる私立病院&クリニックの紹介

 


マレーシアの国公立病院ではマレー語対応となるため、日本語が通じる私立病院やクリニックを把握しておこう。病院クリニックリストは当会ホームページのお役立ち情報ページに常時掲載しており、ご活用いただきたい。

 

  私立病院/クリニックリスト (PCR検査に関する情報も掲載中)
 

  歯科クリニックリスト

 


 

 

今月の写真<イスタナ ブダヤ (国立劇場)>


2022年12月27日から2023年1月15日まで、ミュージカル『ザ サウンド オブ ミュージック』がイスタナブダヤ (国立劇場) で上演された。今月の写真は、そのメインエントランスから入ると真っ先に目に飛び込んでくる階段の演出。ここから『ザ サウンド オブ ミュージック』の世界が始まっていた。
シンガポール公演に続いてのマレーシア公演。本場アメリカのブロードウェイスタッフによるミュージカルだが、長女役を除いた6人の子役はマレーシア国内でのオーディションで選ばれた子どもたち。昨年の6月、3日間に渡ってオーディションが行われ、約500人の子どもたちが参加した。最終的に17人が選ばれ、複数キャストでの公演となった。舞台にはマレー、インド、中国、西洋…というバラエティ豊かな子どもたちが登場し、多様性社会マレーシアならではのミュージカルであった。内容も、子どもたちの熱演も素晴らしく、マレーシアでミュージカルを楽しめる喜びを感じた。

意匠が凝らされたイスタナブダヤ (国立劇場) は、遠くからでも一目でわかる。改修工事が予定されているという話を最近耳にした。すぐそばに新しい駅もできるようだ。今後のマレーシア文化芸術分野の発展に大いに期待したい。

 

 

 

 


婦人部かとれあ会 創立50周年


婦人部かとれあ会は1972年に創立され、2022年度をもって50周年を迎えました。これもひとえに皆様方のご支援とご協力のおかげと感謝いたしております。今後も、マレーシアとの友好を深めることができるよう活動してまいります。
今年度も終わりに近づきましたが、50周年を記念し、髙橋真美かとれあ会名誉会長より御祝辞を賜りました。


髙橋真美かとれあ会名誉会長


 この度は、かとれあ会が創立50周年を迎えられることを心よりお祝い申し上げます。この大きな節目の年に歴史あるかとれあ会名誉会長の任にある事を誇りに思います。
 コロナ禍の中、かとれあ会の中でも中心的な活動である寄付先施設訪問、福祉ボランティア活動、チャリティバザー等、様々な活動が中止を余儀なくされました。この困難を乗り越え、徐々に活動を再開し、特にマレーシアの人々の楽しみの一つまでに成長したチャリティバザーを昨年末に3年ぶりにホテルで開催したことは、まさにかとれあ会50周年の新たなシンボルの一つとなったと確信しております。
 日本とマレーシアの友好・親善活動の為にコツコツと活動を続けてこられた先人の方々への感謝を忘れず、今後の活動と発展に私も微力ながら貢献して参りたいと思っております。
 今後のかとれあ会の一層のご発展とご活躍を祈念いたしまして、私からのお祝いの言葉とさせて頂きます。

2023年3月
かとれあ会名誉会長  髙橋真美

婦人部50年のあゆみ

 
1972年 5月  日本人会所属の婦人部として発足
  12月  第1回バザー開催  (於:ジャパンクラブ) 
1973年 6月  チェラスチルドレンズホームにてボランティア活動開始
1974年 9月  第2回チャリティバザー開催  (於:大使公邸)
1975年 9月  ブキナナス身障者施設訪問
  10月  PJスパスティックセンターでもボランティア活動開始
1976年    婦人部の名称が「かとれあ会」に
1982年 11月  この年よりバザー会場をホテルに移す
1992年 5月 「かとれあ会20周年のつどい」を開催
2002年 12月  かとれあ会創立30周年記念行事「ペスタかとれあ」を開催
2003年 7月  社会見学バスツアー開始
2011年 4月  リサイクルセール売り上げの一部 RM25,000を東日本大震災義援金として寄付
2015年 11月  安倍元首相昭恵夫人 ピュア・ライフ・ソサエティーご訪問
2021年 3月  第48回チャリティバザー 日本人会会館にて開催 (コロナ禍の為)
  12月  第49回チャリティバザー 日本人会会館にて開催 (コロナ禍の為)
2022年 11月  第50回チャリティバザー 3年ぶりにホテルで開催

 

ボランティア活動報告

ブキナナスボランティアによるチャリティバザー


2月4日 (土)、ブキナナス身障者施設入居者の手芸作品を日本人会ロビーにて販売いたしました。
施設入居者は、日頃から手芸作品の製作に熱意を持って取り組まれており、手先の器用な入居者が作るバティック柄のエプロンや刺繍の入った手芸作品は、日本帰国時のお土産としても大変人気があります。
かとれあ会とブキナナスボランティアグループは、施設の自助努力を支えるべく、これからもボランティア活動に携わっていきたいという思いを新たにいたしました。

ボランティアメンバーのみなさん

パッチワークや刺繍等、一つひとつ丁寧に作られた作品

とても可愛らしい子供用ポーチやバッグ

バティック柄の素敵な作品

大好評のエプロン

 


 
今月のローカル食材​
<ホッケン・ミー (福建麺)>
 


料理講習会講師 ちはる 


 


マレーシアに来て、この黒いドロッとしたソースに絡まった麺を初めて見た時、いったいどんな食べ物なのかまったく味の想像が出来なかった。
これはマレーシアで有名な麺料理 ホッケン・ミー (以下、福建麺) で、シーフードと豚肉から出る旨味を太めの麺にしっかりと吸わせ、ダークソヤソースのコクのある甘さで味をまとめている。一度食べたら奥深い味にとりこになる人も多い一品である。この黒さの元となるダークソヤソースが手に入れば、あとはお馴染みの食材で作ることができ、作り方も簡単。日本ではなかなか食べられない料理なので、在馬中に習得してみてはいかが?
 

材料 1-2人分

太麺 200g (うどんで代用可)
キャベツ 80g (手で一口大にちぎる)
小松菜 (青菜類) 20g
豚肉 100g (薄切り)
イカ 40g
殻付き海老 3尾 (中サイズ)
ラード 7-10粒 (キューブ)
ニンニク 2片 (粗みじん切り)

*ソース
ダークソヤソース*大匙 2
魚醤 小匙 1.5
*とろみのある真っ黒なソースでクッキングキャラメルとも呼ぶ

*炒め用オイル
ラード 大匙2
または
サラダ油・ごま油 各大匙1


 
 *ダークソヤソース
 

●下準備 / 作り方

ラードキューブはスーパーの豚肉売り場で購入可

今回は海老、イカ、豚肉を使用

下ごしらえ
・海老の殻を取り除き、背わたを取る (頭は出汁が出るので残す)
・イカは内臓を取り除き、皮をむいて輪切りにする
・海老、イカ、豚肉に塩、白胡椒を2摘まみずつかけて下味をつけておく

①フライパンに油をひき海老とイカを2分ほど炒めたら取り出す

②そのフライパンにニンニクと豚肉を入れ、肉によく火を通す

③麺、ソース、砂糖(3摘まみ)、水120mlを入れ、中火で5分程煮て、水分が1/4以下に飛んでしまったら少し水を加える

④<ここから強火>野菜類とラードキューブを入れ2分ほど煮る

⑤海老、イカを戻し入れ、砂糖、塩、胡椒を少しずつ入れ味を見ながら整える
 

注) KLではこの真っ黒なソース麺を福建麺というが、ペナンで福建麺といえば海老のスープ麺を指す。
  (今月号のえっ!マレーシアを参照)

 

*このシリーズで紹介して欲しい食材や調味料・スパイス等あれば、事務局までお寄せください。office@jckl.org.my

 

 

 


今月の漢方
<漢方と貝殻>

 


国際中医薬膳師/中医実習生  坪井良和

<中薬として使われる貝殻>


牡蛎ボレイ」という中薬がある。漢字からもわかるように「牡蛎」は貝類カキの殻のこと。イライラしがちで夜もよく眠れないなどの症状に配合されることが多い。カキの殻を乾燥させて細かく砕き、水で煎じて内服することが多いが、湿疹やおできなどには空焼きしたものをパウダー状にして外用することもある。鎮静作用があり、驚き・恐れ・精神的ストレスにより心神が擾乱されて生じる煩躁・狂躁・易怒・不眠などの精神不安定に対して有効とされる。主成分はカルシウム。鉄、銅、亜鉛、マグネシウムなどのミネラル成分も含まれている。
牡蛎と一緒につかわれる中薬として龍骨リュウコツがあり、これは古代生息していた哺乳類の化石の総称。牡蛎と同じく主成分カルシウムや微量ミネラルが精神の安定に効果的とされているが、資源的にも限りがあり、現存動物の骨などによる劣悪な代用品も出回っていることから、普段目にすることは少ない。

 

縄文時代の生活遺跡:大森貝塚などのように、貝類というのは古くからアジアの人々には馴染みの食材であり、貝殻も生活用具や装飾品として再利用するなかで、薬品としての価値を発見し後世に伝えてきたのだろう。例えば牡蛎以外にも石決明セッケツメイ (アワビの殻)、珍珠チンジュ (真珠)、文蛤ブンゴウ (ハマグリの殻) などは現代でも常用される中薬として残っている。なかでも珍珠は、近年では美白の薬として重用されるが、古来、加齢やストレスからくる肝熱を鎮めて、ほてりやイライラを解消したり、乳幼児のかんの虫の治療に広く用いられてきた。

珍珠粉(粉末状のものが手軽に手に入る)
「肌に潤いと輝きを与え、きめ細かく滑らかな肌に」

牡蛎は、鎮静作用以外にもしこりを柔らかくする効能もあることから、甲状腺障害やガンの治療につかわれたり、固渋こじゅうといって過剰な排泄作用を抑制する働きもあることから、咳止め、汗止め、下痢や尿もれ、遺精やオリモノなど治療にも使われる。11世紀、中国宋の時代に編纂された『太平恵民和剤局法』の中にはすでに、胃痛腹痛、胃もたれ、胸やけ、げっぷの薬として牡蛎の配合された安中散があり、この安中散が胃酸過多の治療薬として今日に至るまで広く使われているのをみると、先人の知恵にはあらためて驚かされる。


<胃痛薬「安中散」の配合生薬>
 

 
 

 

KL日本人墓地 春季慰霊祭のご案内

 

KL日本人墓地の慰霊祭は毎年二回、春分と秋分の頃に行っております。
今回は広島県呉市から良輝和尚をお迎えし、当墓地に眠る第二次世界大戦の戦没者やからゆきさんなど先人達のご冥福を一緒にお祈りします。お線香やお花は当会で準備しますので、お気軽にお出でください。
皆様のご参加をお待ちしております。

2023年3月5日 (日) 午前10時~(午前11時半ごろ終了予定)

 式次第(予定) 
・KL日本人会会長挨拶
・狩俣公使ご挨拶
・読経、焼香、法話
・慰霊碑 献花
・墓地前供養 (献花、焼香)

場所:クアラルンプール日本人墓地・慰霊堂
住所:No2. Jalan Lapangan Terbang Lama, KL
(Waze「Japanese Cemetery」で検索可能)
駐車場・トイレ有り

詳細はホームページのご案内をご覧ください。



慰霊祭は慰霊堂内で(エアコン完備)

墓地前供養 (献花、線香)

 
 

はぐくみ会の活動報告​
< おひなさま

 

 

2月22日(水)のはぐくみ会では、おひなさま飾りを作り、ひなまつりの雰囲気を楽しんだ。
よちよち歩き前の小さなお子さんは、お母さんたちが飾りを作っている間、興味を持ったおもちゃで遊んだり広いホール中をハイハイしたりと元気いっぱいであった。
子育ての事などいろいろなおしゃべりをしながらゆったり時間を過ごし、お母さんどうしの交流の場ともなっている。


次回活動日 (予定)
3月  8日 (水) パラバルーン (大きな布で風をおこそう)

参加方法 : 
当日始まる前に事務局窓口にて参加チケットを購入
(事前申し込みは不要)

詳細はこちら

おひなさま気に入ってくれたかな

かわいいおひなさま飾り


 

 


えっ!マレーシア <地域によって異なる福建麺>

 

 

福建麺 KLスタイル


今月のローカル食材で紹介した福建麺。KLとその近郊で福建麺といえば「うどんのような太麺のソース焼きそば」のことで、真っ黒な見た目からは想像できないまろやかなコクと旨味のある一品であるが、ペナンに行って福建麵をオーダーすると、まったく別物の「スープ海老麺」が出てくることはご存じだろうか。では、お隣シンガポールで福建麺をオーダーすると…これまた異なる「海老入り塩焼きそば」が出てくるのである。

 

KLスタイルの福建麵の本家本元は、1927年に福建省出身の王金蓮氏がマレーシアに移り住みKLのチャイナタウン付近で開いた屋台とされ、王氏は当初、福建省で一般的なスープ麺を供していたが、常連客から炒麺や煮込み麺の要望を受け、ヒラメ魚の粉末やオイスターソースなどで旨味を出すソース麺を編み出したのが始まりのようだ。KLのお客さんの要望から生まれ、KLに根付いた一品だ。ところ変わればまったく異なる福建麵であるが、福建省の麺料理をルーツに、その地で入手しやすい食材、気候、生活スタイルなどによってアレンジされたものが各地で定着したのだろう。そしてあの長崎ちゃんぽんも、ルーツは福建麵と考えられているとのこと。
ちなみに、ペナンの福建麵はKLでは海老麺 (プラウン・ミー) と呼ばれ、ホーカーセンターなどで食べられる。乾燥小エビからとった旨味たっぷりのスープに、イエローミーまたはビーフン、海老、もやし、ゆで卵などを載せたピリ辛のスープ海老麺である。こちらも日本にはないマレーシアを代表する麺料理なので、ぜひ在馬中に味わっていただきたい。

 

ペナン福建麵

シンガポール福建麵
 

 
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