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JCKLニュースレター
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今月の写真<ピンクモスク>
今月の写真は、クアラルンプール観光の定番スポット「Masjid Putra」。ピンク色を基調としたデザインから「ピンクモスク」とも呼ばれている。プトラジャヤ湖のほとりに立つその姿はどこか女性的で可憐。また、内部のドーム天井にはバラが咲き誇るようなアラベスクが広がり、外観・内部ともに記憶に残る美しさだ。
ピンクモスクが建つプトラジャヤは、1990年代に新行政都市として開発が始まった比較的新しい街で、首相官邸や財務省、裁判所などが湖の周辺に集まっている。行政都市だが無機質な雰囲気はなく、むしろイスラム美術と現代建築が融合した洗練された建物が多いので、観光客の目を十分楽しませてくれる。橋を支える何本ものワイヤーが優美なスリワワサン橋や、シャープなデザインが目をひく通称「鉄のモスク (Masjid Tuanku Mizan Zainal Abidin) 」など、プトラジャヤ湖のクルージングを利用すれば、湖上から美しい建物を眺めることができる。
日本人にとって4月といえば桜。満開の桜が恋しい方には、薄紅色が美しいモスクを眺めて、春を感じてみるというのはいかがだろうか。
イスラム教徒 (ムスリム) が断食を行う月「ラマダン」が始まっている。ラマダンとはイスラム暦の第9番目の月の名称で、全国全世界に住むムスリムにとって重要な意味を持つ一か月間である。
イスラム国家マレーシアに住む非ムスリムはラマダン期間の昼間でも自由に外食できる環境にあるが、国全体の動きや雰囲気が大きく変わる期間でもあるので、この国に在留する外国人として最低限知っておきたいマナーや注意点を押さえ、ハリラヤを共に祝い、そして楽しもう!
マレーシア滞在1年目。
ハリラヤは初めてなので、いろいろ体験したい!
MM2Hビザで滞在5年目。ハリラヤをもっと詳しく知りたい。
4月に「ハリラヤ」の連休があると聞いて楽しみにしている。
ところで、ハリラヤって何を祝う日?
ハリラヤは、イスラム教徒 (ムスリム) が断食を行う月「ラマダン」が明けたことを祝う日。「ハリラヤ」とはマレー語で「祝いの日」という意味で、「Hari Raya Puasa / Hari Raya Aidilfitri 」を略し、こう呼んでいる。
一か月に及ぶ断食を終えた達成感と喜びに満ち、一年の中で特に盛大に祝う日で、新調した伝統衣装を着てモスクを訪れる。そして、親戚や友人を訪ねたり自宅に招いたりし、ご馳走を食べながら楽しく過ごす。
ハリラヤ初日の挨拶サラーム
一か月も断食?!
まさかその間ずーっと何も食べないわけではないよね?!
断食を行うのは夜明けから日没までの太陽が出ている間で、日没から夜明けまでの間は食事をとることができる。つまり一日二食。
夜明けというのは地平線に夜明けの光が差したときを指し、日の出より1時間以上も前なので、マレーシアでは午前6時ごろまでに朝食を済ませなければならない。その後は夜7時半ごろまで水も飲めないので、暑いマレーシアでは夜明け前に十分な水分を補給しておくことも大切だ。
また、この期間は断食を行うだけでなく、様々な欲望を抑えながら信仰心を深める生活が求められるので、口論や悪口といった望ましくない言動を避けながら、心穏やかに過ごすように心がけている。
断食、お祈りの時間は日にち・地域によってずれるため、アプリなどで正確な情報を確認する
水もダメなんて!
なぜそんな厳しいことを?
断食やお祈りによって罪を浄化し、善行によって徳を積むという教えがあり、熱心に取り組むムスリムが多い。ラマダンは聖なる月で、特にこの期間の善行は何倍にも大きく評価され天使に記録されると考えられている。
また、ムスリムが実践すべき五行として「断食」の他に、「喜捨 (富める者は貧しい者に与える) 」という教えがあり、この期間は特にモスクやコミュニティに寄付したり食事を振る舞う人も多い。自己犠牲を経験しながら食への感謝と命の尊さを再認識し、ムスリム同士の連帯意識を強める特別な期間である。
いつも以上にコーランを読み、祈りを捧げ、自己鍛錬の期間とする
子どもやお年寄りも断食するの?!
もし出来なかったら?
断食に参加できる年齢に上限はない。病人や妊婦、生理中の人など断食を免除されることはあっても、ほとんどの人は後で埋め合わせの断食を行っており、重病などの理由で埋め合わせが難しい人は、いつも以上に祈りを捧げることやコーランをたくさん読むことなどが助言される。なお、ラマダン期間中に短期旅行が重なった場合は、ラマダンが明けてから断食できなかった日数分を一年以内に断食し挽回することが認められている。しかし、ハリラヤ初日の断食は禁止されている。
子どもが何歳から断食を行うかであるが、それは本人の意思で決めることができ、最初は時間や期間を短くし午前中だけ行うなどしながら慣らしていくが、10歳前後から練習する子が多い。
断食免除に関するガイドラインがあり、ルールが明確にされている
昼間ずっと断食しているんだったら、
勤めている人はいつも通り働くのは大変では?
この質問をムスリムに投げかけてみると、「子供のころから断食しているから体が慣れている」と返ってくるだろう。しかし、特に体が慣れるまでの最初の一週間は眠気に襲われたり、個人差はあるものの大変であることに変わりはない。会議や重要な仕事は、集中力が比較的維持できる午前中に設定するなど、できる限り配慮することも大切だ。
企業では出勤時刻を繰り上げたり、昼休みを短縮して終業時刻を早めるところが多く、学校でも公立校を中心に短縮授業となり、日没時間に家族と食卓を囲めるよう配慮されている。
空腹は食への感謝と、飢えた人への共感を育む
お店は閉まるの?
街の様子が変わったりするの?
通常通り営業する店が多いが、ムスリム客の多いレストランでは昼間は閉める店も少なくない。マレー系住民が大多数を占めるマレーシア北部のクランタン州やトレンガヌ州などでは、昼間はほとんどのレストランが閉まるので、出張や旅行などでラマダンが重なる時には気を付けたほうがよい。
またビジネス面ではあらゆる面で遅延が発生しやすく、予定通りに進まない、荷物が届かない、といった事態が起こることを想定しておこう。特にこの期間は余裕をもって日程を組むようにしたい。
店によって営業時間が変わることも
この国に住む外国人として、
気を付けたほうがよいことは?
ムスリムのすぐ近くで飲食したり、食欲を刺激するような匂いの食べ物を持ち込んだりすることは避けよう。どうしても避けられない状況なら一言声をかけるなどしたい。
また、この期間は交通渋滞が一層深刻になるので、車での移動には気を付けたい。特に、帰宅ラッシュの16時~19時頃は断食の疲労が出やすい時間帯なので交通事故も多く、早めの移動や電車の利用をおすすめする。
この期間は休みを取るタクシードライバーが多く、日没前後のタクシー確保は無理と思った方がよいだろう。
帰宅ラッシュに雨が降ると深刻な渋滞を招く
ラマダンの日付は毎年変わるよね。
どうやって決まるの?
イスラム暦は純粋太陰暦 (1年は約354日) なので、ラマダンの時期は西暦では毎年11日ほど早まっていく。約33年かけて一巡することから、ムスリムは一生の間に二巡の断食を経験するといわれる。日にちがずれることにより、日照時間の差が大きい地域のムスリムにとっても平等であると考えられる。
マレーシアでは、ハリラヤの日付は計算によって予測され、目視で月を観測し確定される。予測日がずれることはめったにないのだが、2022年はそのめったにないことが起きハリラヤが一日早まった。それを日本の正月に例えるならば、12月30日の夜に正月は明日だと発表されるようなもので、悲鳴に近い驚きの声がマレーシア全土を駆け巡ったことは想像に難くないだろう。
イスラム暦は純粋太陰暦のためハリラヤの日付は毎年変わる
ハリラヤは毎年11日早まっていくんだ。
じゃあ、チャイニーズニューイヤーと重なったりもする?
ハリラヤが中国正月に重なる年がじつは33年間に3年間あり、このダブル祝日の年は「Share Raya」とか、中華系の新年の挨拶に引っ掛けて「Gonxi Raya」と呼ばれている。前回のShare Raya は1996年97年98年だったので、次回は2029年30年31年になる計算である。
中国正月の頃にはヒンズー教の祭日タイプーサムもあるので、三民族の主要祝日が重なるトリプル祝日ということも過去にはあったと記憶している。そうなると、社会の動きはほぼストップしそうだね。
2029年30年31年には、ハリラヤと中国正月が重なる予定
ラマダンの時期だけ出る屋台があるよね。
どんなものを売っている?
ラマダンバザールと言って、ラマダンに入ると夜市のような集合屋台が夕方に店を出し、断食明けの食事を販売する。ラマダンバザールには非ムスリムが訪れてもよく、もちろん購入することもできる。ドリンクやデザート、この時期ならではの食べ物もあり、楽しみにしているマレーシア人も多い。
また、ハリラヤのお祝いの食事にはケトゥパッやレマンと呼ばれるご飯が有名だ。どちらもレンダンと呼ばれる肉の煮込み料理などといただく郷土料理で、レマンは竹筒にバナナの葉、もち米、ココナツミルクを詰め、炭火で炊飯する。道端で煙を上げて炊飯している光景が見られるのもハリラヤならでは。
期間限定のラマダンバザールがあちこちで開催される
スーパーに行くと、焼き菓子が山積みになって売られているよね。
お祝い用のお菓子はどんなものがある?
ハリラヤのお菓子としては日持ちするクッキー、クエラピス (バームクーヘン)、クエカペ (薄焼きロール)、バフル(カステラ)など焼き菓子が多く、来客用・手みやげ用にいろいろな種類を用意する。手作りする家庭も多い。
マレー菓子はクエ○○といったお菓子がたくさんあるが、米粉で作る生菓子はモチモチとした食感でまた違ったおいしさがある。日本人にも人気のある「オンデ・オンデ」は、黒蜜シロップが口の中でジュワッと広がる緑色のお団子。ぜひ試してみよう。
飲み物はローズシロップという赤いジュースが多い。日本人には甘すぎるように感じるが、辛口マレー料理といただくには口の中の辛さがやわらぎ、ちょうどよいのかもしれない。
ハリラヤ用の焼き菓子
スーパーではデーツもたくさん並んでるよね。
この時期デーツを食べるのはどうして?
ムスリムが断食明けにデーツを口にするのは、預言者モハメッドが断食明けに水を飲み、まずデーツを口にしたことに倣ってのこと。
デーツは産地によって違いが大きく、柔らかいものからドライなものまで様々な品種があるが、干し柿のような甘みと食感で消化によく、疲れた体に糖分を補給してくれるドライフルーツである。栄養価も高く、食物繊維、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分などのミネラルを含み、長い断食期間を乗り切るためのお助け食品でもある。当地では日本より安く手に入るので自然派のおやつとして取り入れてみては。
ラマダンの風物詩デーツ
ラマダン期間中にビュッフェの宣伝をよく見かけるね。
あれは非ムスリムでも利用できる?
ラマダン期間には、マレーシア国内のホテルやゴルフ場など各地でラマダンビュッフェが開催される。珍しいマレー料理を準備する店もあり、相場はRM100~200程度。ラマダンビュッフェは非ムスリムも参加でき、空席があれば飛び込みでも入れてもらえるが、人気店や週末の予約はお早めに。店によって様々な趣向が見られるので、近くのビュッフェをチェックしてみては。
マナーとして、食べ始めるのは日没の時間を知らせるアザーンが流れてから。ただ、日没前にお皿に料理を取り分けることは問題なく、ムスリムも早めに来場して取り分けているので、席に着いて日没まで一緒に待とう。
ラマダンビュッフェは非ムスリムも参加できる
習い事で知り合ったムスリムからオープンハウスに誘われて…。
失礼のないようにしたいな。
オープンハウスとは、日頃お世話になっている人を招待し、食事を振る舞うパーティーのこと。企業が会場を借りて大々的に開催するものからホームパーティーまで規模は様々。大規模なものなら手ぶらで行って食事をいただき帰ってきたらよいが、ホームパーティーならちょっとしたハラルのお菓子でも持って出掛けるとよいだろう。
あるいは、ハリラヤも日本のお年玉のような習慣があるので、グリーンパケットと呼ばれるポチ袋に気持ちを包んで、お子さんに渡してもよい。
自宅で行うオープンハウス
ポチ袋の渡し方は?
いくらくらい包んだらいいかな?
親から子へ渡す場合は祈りを捧げてから渡すが、知り合いのお子さんへは「Selamat Hari Raya セラマッ ハリラヤ」(ハリラヤ、おめでとう!) といって渡すとよい。
金額は気持ちなので少額でよく、たくさんの子に配るならRM5程度を入れたポチ袋を多めに用意しておくとよい。ハリラヤ用のポチ袋はハリラヤが近くなるとスーパーや銀行などでもらえるが、なければどんなポチ袋でもよい。
大切なのはハリラヤを共に祝う気持ちなのであまり形にこだわらず、一緒に食事を楽しみながらコミュニケーションを図ろう。
グリーンパケット (ポチ袋)
ムスリムの友達がいなくて、オープンハウスの機会がなさそう。
でも一度は体験してみたいな!
ハリラヤに限らずマレーシアではオープンハウスがよく開催される。毎年首相官邸で行われるオープンハウスは、外国人を含め誰でも参加でき、応募なども不要なのでアナウンスを確認して参加してみるのもよい。日が近づくとローカル新聞やSNSなどで案内が出される。
また、ホテルやゴルフ場で行われるラマダンビュッフェもオープンハウスのような雰囲気やマレー料理、文化を味わえるので、人気店を探して出掛けてみるのもおすすめだ。
せっかく海外に滞在するのだから、この国で習い事をしてみたり、近隣のマレーシア人と挨拶を交わしたりする中で出会いが広がるかもしれない。
オープンハウスはビュッフェスタイルのマレー料理
ハリラヤになると、おそろいの晴れ着をまとったムスリム家族を見かけるよ。絆の強さが感じられていいよね。
衣装を新調することもムスリムにとってハリラヤを迎える楽しみのひとつ。マレーシアは家族の結束や繋がりを大切にする人が多く、家族全員分を同じ布でオーダーメイドしたり、親族でその年の色を決めてそろえたりするのだ。
ハリラヤに着る伝統衣装は、男性は「バジュ・マラユ」とよばれるゆったりとしたシャツにズボン、女性は長袖ブラウスとスカートを組み合わせた「バジュ・クルン」が一般的。既製品の手頃なものもあり、ショッピングモールなどで販売されているので、好みの色柄のものが見つかったら手に入れてみてはいかが。
家族の繋がりを大切にする国民性
婦人部かとれあ会
【2022年度 ドネーション贈呈式開催】
かとれあ会名誉会長髙橋大使夫人よりメッセージ
2月21日 (火) 日本人会会館にて、日本人会及び日本人会慈善基金主催2022年度ドネーション贈呈式が行われました。
かとれあ会名誉会長である髙橋大使夫人ご臨席のもと、昨年11月に開催された第50回日本人会チャリティバザーやかとれあKioskでの収益金と寄付金のうち、本年度はRM 84,000をマレーシア国内11箇所の福祉施設及び団体に寄付いたしました。寄贈先の内訳は、成人障がい者自立施設、貧困家庭子どもの施設、障がい者施設、貧困高齢者施設、人道支援・救済施設、透析センターです。
贈呈式では髙橋大使夫人、岡部日本人会会長、星合婦人部担当理事、かとれあ会役員より各福祉施設代表者へ寄付金が手渡されました。
髙橋大使夫人から寄付金の贈呈
岡部日本人会会長から寄付金の贈呈
星合婦人部担当理事から寄付金贈呈
かとれあ会役員から寄付金の贈呈
Good Samaritan Home の子供達による合唱披露
The Pure Life Society の子供達によるダンス披露
髙橋大使夫人とThe Pure Life Society の皆さん
髙橋大使夫人とかとれあ会役員
【福祉施設からの感謝の言葉】
施設の子供達、スタッフを代表して感謝を申し上げます。JCKL慈善基金、かとれあ会の皆様、莫大な労力を要したバザーを開催し温かいご寄付をいただきました。ありがとうございました。
<Good Samaritan Home>
【2022年度寄付先福祉施設・団体一覧】
- Asrama Cahaya Rumah Wanita Cacat
- Good Samaritan Home
- Montfort Boys Town
- Persatuan Kebajikan Than Hsiang Mitra Malaysia
- POBP Dayspring Selangor
- Pusat Jagaan Persatuan Komuniti Istimewa Ampang, Selangor (Formerly known as Persatuan Kanak-Kanak Istimewa Ampang, Selangor)
- Spastic Children's Association of Selangor & Federal Territory
- St. John Ambulans Malaysia- Kawasan Pantai Selangor
- The Pure Life Society
- United Voice
- Yayasan Kebajikan SSL Haemodialysis
【第2回福祉施設ボランティアグループ連絡係連絡会】
ブキナナス身障者施設ボランティアとPJスパスティックセンターの各連絡係の方々より、今年度の活動をご報告いただきました。
ブキナナス身障者施設では、依然として施設内への立ち入りが叶いませんが、入居者が作成する手芸品を販売したり、恒例のクリスマスプレゼントをお届けするなど、できる範囲で活動されました。
PJスパスティックセンターでは、昨年の12月まで施設内への立ち入りができませんでしたが、今年の1月からは以前のようなボランティア活動が行えるようになっています。教室内の資料を新たに作成し掲示したり、音楽に合わせて体操をする際のお手伝いなど、精力的に活動されました。
ボランティア活動に携わってくださった皆様への感謝の気持ちを込め、かとれあ会より感謝状をお渡しいたしました。
一年間、誠にありがとうございました。
ブキナナス身障者施設ボランティアへ感謝状贈呈
PJスパスティックセンターボランティアへ感謝状贈呈
ボランティア連絡係の皆さんと記念撮影
【2023年度バザーサポーターオリエンテーション】
2023年度のバザーサポーターに16名の方が立候補してくださり、2月27日 (月) にオリエンテーションを開催して仕事内容の説明を行いました。チャリティバザー当日の様子や手芸作品をスライドでご覧いただき、手芸品製作の提案や質疑応答、情報交換などを行いました。
説明会の後、チャリティバザーではおなじみのバティックフラワー製作講習会を行いました。皆さん手際よく製作し、あっという間に完成されました。 次年度のチャリティバザーの手芸品はどんな素敵な作品が並ぶのか、今からとても楽しみです!
バティックフラワー製作デモンストレーション
完成したバティックフラワーを持って記念撮影
完成したバティックフラワーを持って記念撮影
バティックフラワー製作講習会の様子
2023年度のバザーサポーターの皆さんと記念撮影
JICAだより
<こんにちは、バジュ・プテを着た日本人介護士です。>
近藤知子
♦はじめまして!
<入居型高齢者施設で白い制服を着て皿洗いや床掃除を手伝う筆者>
ふだんはタイトルにあるように制服のバジュ・プテ (直訳では「白服」) を着ています。配属先のRumah Seri Kenanganは、女性家族地域開発省社会福祉局により運営されている入居型の高齢者施設で、マレーシア国内10ヶ所あるうちのチェラスで私は活動しています。入居の主な条件は、マレーシア国民、60歳以上、身寄りがなく、身の周りのことが自分ででき、そして感染症に罹患していないこと、とされています。しかしながら前述の条件に加え、在宅生活の継続が困難となる理由がそれぞれのご高齢者にあり、入居者のなかには介護を必要とする方もおられます。マレーシア側からは、この配属先で介護技術の共有や余暇活動などの提案をすることが期待されています。マレーシアでは2030年に高齢化社会を迎えると予測されており、介護ニーズも増えてきています。そのような中、日本で17年間にわたる高齢者福祉・障害者福祉の経験をしてきた私は、JICA海外協力隊の介護士隊員として約1年前からマレーシアで活動を続けています。
♦日本人介護士としての喜怒哀楽
マレーシアでの活動で感じた喜怒哀楽について紹介します。
まず「喜」は、ご高齢者と一緒に過ごす時間をじっくり味わえることで、これこそがボランティアの醍醐味と感じています。日本の介護現場で働いていると時間に追われることが多いですから。ただ、今の配属先でも介護士不足の課題があり、同じ介護士として考えさせられる毎日です。次に「怒」 (というよりも「やるせなさ」や「悔しさ」) として、施設で新型コロナウィルスの感染が拡大した時、私に出来るのは自身の感染を防ぎ状況の許す限り休まず通うことだけだったこと。ふだん接しているご高齢者や介護士らと会うことを控えざるを得ず、入居エリアの外からみんなの姿を想うだけ。そのやるせない経験が私自身の感染対策をはじめとする健康管理への意識を引き締めてくれました。そして「哀」は、ご高齢者との最期のお別れです。介護士、特に高齢者介護に携わるが故に向き合うことで、死とはいつ訪れるのか誰も知らない、それでいて必ず訪れるその時、命を使い切ったお身体に感謝を込めて最期のお手伝いをさせて頂きます。マレーシアという環境で、改めて死生観について学ぶことが非常に多いです。
最後に「楽」は、介護士仲間と同じバジュ・プテを着て仲間に入っていけること! 初めからバジュ・プテを着られた訳ではなかったので、スモールステップでの試行錯誤を経て介護のチャンスに恵まれた時には、嬉しさに涙が出たほどです。今は、私自身が日本人介護士としてマレーシアでの介護現場を学ぶべき時と捉え、現地のご高齢者の日常生活動作をそのあらゆる環境を含め、日々の関わりの中でじっくり観察しているところです。また私は、社会福祉従事者として介護を必要とする人の「自立支援」を支援の軸としており、現地でその実践に出会えることはモチベーションの一つになっています。確かに日本で得た経験は役に立ちますが、一方で資格や経験、知識に固執してしまうと自分の価値観による決めつけを招き、現地の人々への理解を妨げることを経験しました。
※「自立支援」;病気や加齢によって介護が必要になった高齢者の意思や希望を尊重し、自立した生活ができるように支援すること。介護における自立とは、要介護者が可能な限り、自分の能力を活かして生活していくこと。自立には「身体的自立」、「精神的自立」、「経済的自立」がある。
♦「なぜ私たちは社会福祉に携わりたいのか?」
社会福祉分野で活動中の隊員との語らい
上記の問いは、社会福祉分野で活動中の隊員らと語り合っている中で辿り着く自問です。社会福祉での仕事は、今日上手くいったことが必ずしも明日も上手くいくとは限りません。それでも社会福祉から離れず、海外に出てまで求めさせる魅力は何か? JICA 海外協力隊としてボランティア活動の機会と時間を与えられているからこそ、その問いに青臭く向き合えるのかもしれません。語り合える仲間とのご縁をたいへん幸運に思いますし、さらに隊員それぞれの職種やバックグラウンドの違いを越えて互いの経験を分かち合えるのも、協力隊活動の貴重な側面と言えるでしょう。
私は介護を考えるとき、写真のようにナシレマッに例えることがあります。ご高齢者がご飯として置き換えられ、ご家族や医療・福祉従事者、福祉用具など取り巻く人や環境はサンバルやおかずではないかと。ナシレマッも介護も、好みで必要なものを足していくことで良くなっていきますし、私も社会の中でその要素の一つでありたい。そのように思い巡らせると、今のところ辿り着いた私にとっての社会福祉への飽くなき魅力は、介護を通して人と出会い、命のそばで関わっていけることかもしれません。
<ヨントウフ>
料理講習会講師 ちはる
ヨントウフ (醸豆腐 Yong Tau Foo) は 魚や豚肉などで餡を作り、野菜や豆腐に切れ目を入れて詰め、油で揚げたりおでんのようにスープで煮て食べる客家料理である。そのスープは、大豆の甘みとイカンビリス (小魚) の出汁が効き、奥深い旨みがある。
餡は丸ごとの魚から手作りすると本当においしく出来上がるのだが、かなり手がかかるので、ホーカーセンターで注文して食べたり、餡が詰められた冷蔵品を利用してもよいだろう。
●丸ごとの魚から餡を作る
新鮮な鰆 (さわら) を手に入れる
三枚におろし、スプーンを使って身だけこそぎ取る
魚肉にイカを合わせ、ハンドブレンダー(少しずつ水を足すと回る) などでしっかりこねて粘り気を出す
調味料を入れ粘りが出るまで混ぜ、豚ミンチも加えたら餡の完成
野菜や豆腐に切れ目を入れ餡を詰める
餡が余ったらお揚げに詰めて冷凍保存するのがおすすめ
●油で揚げ、そのままどうぞ
●スープに入れておでん風に
ヨントウフに火を通さずそのままスープに入れてもよいが、フライパンに油をひき、軽く焼き目を付けてから煮ると香ばしく美味しい
①イカンビリスを水で洗い、キッチンペーパーの上に広げ水気を取っておく
②前の晩に乾燥大豆を水に浸けて戻しておく
③翌日、火にかけ茹でる
④少量の油をひいたフライパンでイカンビリスを炒る。中火で約10分、 完全に火が通りうっすら茶色になるまで
⑤大豆の鍋に炒ったイカンビリスを加え、中火で30分以上煮る
⑥出来上がったら濾し 、少量の塩、醤油を入れたら薄味のスープが完成
※参考情報
魚肉などで作られたポークフリーのready to cook ヨントウフ。スーパーマーケットなどの冷蔵食品コーナーで購入できる。
今月の漢方
<四神と漢方>
国際中医薬膳師/中医実習生 坪井良和
小青竜湯という漢方薬がある。麻黄、芍薬、乾姜、甘草、桂皮、細心、五味子、半夏からなり、鼻水の元となっている体内の余分な水を温めて発散することを主目的として、花粉症や鼻炎などで、鼻水がズルズル止まらないといった症状によく処方される。小青竜というからには大青竜もあって、大青竜湯のほうには熱を冷ます石膏が配合され、熱さが体内にこもってしまい、汗が出なくてつらいという症状につかわれる。いずれも、水分が適切に体内をめぐっていないことが原因でおこる病気に用いられるので、竜という水を司る古来の伝説の生き物が名前につかわれている。
小青竜湯
四神 (「しじん」もしくは「ししん」) とは東西南北を守護する伝説の生き物のこと。私のイメージでは、高松塚古墳の壁画や平安京の立地条件、風水が頭に浮かぶが、小説や漫画の題材になっていることも多い。もともと中国の古代天文学が由来なだけあって、漢方にもその名が残っているのでここで紹介したい。
東の守護神・青竜のつぎは西の守護神・白虎。白虎湯は、体内水分の生成を促して体のほてりや乾きを冷ます漢方。体内の熱が原因で皮膚に痒みが出ているときにも使われる。白虎湯そのものに触れる機会は多くないが、天然の白虎湯といわれる果物のスイカを夏の炎天下に食べるところをイメージすると、白虎湯の効き目も想像しやすいかもしれない。
南は朱雀。朱雀は鳳凰と同一視されることもある。朱雀湯という処方は現在残っていないが、一説には十棗湯がそれにあたるらしい。十棗湯は赤い棗をたくさん用いた漢方。胸水がたまって胸が苦しい、息が上がるといった重篤な症状に対して、毒性のある強い生薬で水分の排出を図るのだが、その際、胃腸を保護するために大きなよく熟した赤い棗を大量に配合することからこの名がついた。現在は臨床ではほぼ使われていない処方の一つである。
<四神>
さらに玄武。玄武は蛇と亀が合体した生き物の形で描かれることが多い。方角では北。真武湯は、水と冷たさが体に滞って起こる、めまいやむくみに処方される。 (玄武湯と言いたいところだが、宋朝皇帝の本名にある玄の字を避けて真武湯とされたとのこと。)
「青竜 (青)、玄武 (黒)、白虎 (白)、朱雀 (赤) に加えて中央に黄土を配し、そこを中原として皇帝が治める」という東洋哲学の考え方があり、もちろん、黄土湯というのもある。黄土湯は虚弱体質者の下血や貧血、月経不順に使われる。なんとこれには、黄土として、よく使い込まれた「かまどの土」が使われるのも面白い。
かまどの土
四神の名を冠した漢方はいずれも「水」に関する処方である。「治水の始まりは文明の始まり」ともいわれるが、生活環境だけでなく、人々の健康についても同じように考えたのだろう。改めて古代は、天文学、医学、神話と人々の日常生活が、今よりずっと密接な関係であったのだなぁと感心させられる。
KL日本人墓地 春季慰霊祭の報告
3月5日(日)、広島県呉市・浄土寺の良輝和尚をお招きし、KL日本人墓地において春季慰霊祭が行われた。
当日は約50名の方が参加され、狩俣公使、JCKL岡部会長からご挨拶をいただいた後、読経、焼香、法話と続き、その後は参列者全員で慰霊碑に献花した。墓前には線香とお花を手向け、マレーシアに眠るすべての邦人先駆者に思いを馳せ、今年の春季慰霊祭は滞りなく終了した。
次回、秋季慰霊祭は9月10日 (日) に実施の予定。
狩俣公使よりご挨拶
ご焼香
良輝和尚の法話
慰霊堂前で記念撮影
1899年 (明治32年) に開設されたKL日本人墓地には、戦争を含む様々な理由でこの地に来られた1,600名を超える先人の霊が眠っている。
● KL日本人墓地へのご来訪
ゲートは常時閉められているので呼び鈴で管理人をお呼びください。
訪問受付時間:
9:00~17:00 (日・祝祭日は閉園)
KL日本人墓地所在地:
No2. Japan Lapangan Terbang Lama, KL
(Wazeでは「Japanese Cemetery」で検索可)
2018年に建立された立派な慰霊碑
出産準備教室<活動報告>
第74回出産準備教室が、2月2日 (木)、16日 (木)、23日 (木)、3月4日 (土) の4日間にわたり、看護師や助産師の資格を持つ会員ボランティアスタッフの方々のご協力により開催された。
本講座では、妊娠・出産の基本的知識を日本語で学ぶことができ、今回は4名のご参加があった。
最終日はご夫婦で参加するカップル講座が行われ、和やかな雰囲気で妊婦体験ジャケットを着用したり赤ちゃんの沐浴実習を行ったりした。
頂いた感想の一部を紹介する。
- みなさんとてもフレンドリーで、緊張せずに参加できた。また妊婦仲間と知り合うことができ、とても嬉しかった。
- 少人数だったので、気軽に質問ができて良かった。
- ボランティアの方の実体験を交えて話をして頂き、リアルで為になった。初めて妊婦仲間もできて、今後も交流できるとうれしい。
妊婦体験ジャケットを着用された旦那さん
ご夫婦での沐浴実習
マタニティヨガ講習も行われた
えっ!マレーシア <Toll Card Stick>
乗用車の窓から伸びる棒。有料道路の料金所や有料駐車場の出入口などで目にしたことは無いだろうか。
このハエ叩きのような形状のスティックは Touch 'n go cardをカードリーダーにタッチさせるための補助アイテム。料金所で腕を伸ばしてタッチするのがきついと感じる人のためのグッズで、そうでない人も車の幅寄せに神経質にならなくて済む。ハエ叩きでいうハエを仕留める部分にカードをセットするのだが、その部分は程よくしなり、カードリーダーにも密着。五十肩の我が夫曰く「いい。想像以上にいい。」とのことである。
ただ、カードを差し込んでセットするのに少々手間取るので、セットしたまま常備するのが有効な使い方である。
このToll Card Stick は MR. DIY のカーアクセサリコーナーで購入 (3本入りRM2.20)。ぜひお試しあれ。
JCKLニュースレター
【編集委員】
- 柳井教男(編集長)
- 熊谷敦子(副編集長)
- 松尾義裕(副編集長)
- 勝田羊奈子(編集委員)
- 澤村文江(編集委員)
- 矢内理砂子(編集委員)
- 和嶋初代(編集委員)
- 安松英子(かとれあ会)
- 久保朗子(かとれあ会)
*掲載の内容は変更が生じる場合があります。
ご意見やご感想は事務局ニュースレター担当までお願いします。