デジタル版
JCKLニュースレター
タイムリー且つ皆様のお役に立つ情報発信を心掛け、毎月初旬にお届けいたします。
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新年のご挨拶
在マレーシア日本国大使館
特命全権大使 髙橋 克彦
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新年 明けましておめでとうございます。
会員の皆さま方におかれましては、お健やかに新たな年の初めをお迎えになられたこととお慶び申し上げます。ここマレーシアにて、常夏の太陽のもと、暖かく明るいお正月をお祝いできますことを嬉しく思います。
昨年は、新型コロナウィルスの影響による出入国制限等が順次終了し、人の往来が活性化したことに伴い、当地の邦人社会も以前と同様の活気を取り戻したのではないかと思います。
政府レベルでも同様に閣僚級の相互訪問も多数行われました。その中でも11月には岸田総理が当地を来訪し、12月にはアンワル首相が日本とASEANの友好協力50周年の機会に日本を訪れたことは、昨年を締めくくる大きな出来事となりました。そして、アンワル首相訪日の際には日マレーシア関係を包括的戦略的パートナーシップに格上げすることが発表され、歴史的な一歩となりました。
今年、マレーシアはASEANトロイカ (次期議長国) となり、地域の安定に貢献することが期待される立場となります。マレーシア政府との連携をこれまで以上に密にし、昨年高まった二国間関係のモメンタムを失うことなく、マレーシアとの関係強化、相互協力をさらに進めていきたいと考えます。
昨年、クアラルンプール日本人会は設立60周年という節目の年を迎えられました。1963年に今のかたちで設立された日本人会は、今では会員総数4,000名を擁する世界でも有数の大きな日本人組織に発展しました。
この間、日本人会は当地に暮らす大勢の日本人にとって大変頼れる組織であったことは言うまでもありません。そして、同時に日マレーシア間の友好交流増進にも重要な役割を担って来られました。
例年大変多くの参加者を集める盆踊り大会は、今やマレーシアにおける日本の代表的な文化交流イベントとしてマレーシア国民にも広く認知されています。またもう一つの年間大イベントであるチャリティバザーも、昨年は当地を訪問中の岸田総理夫人に視察いただき、その歴史に新たな1ページを加えました。岸田夫人からは日本とマレーシアとの強い絆がこうした長年にわたる慈善活動により支えられていることを実感したとの感想をいただいています。
在留邦人と当館との関係では、昨年はデジタル社会推進の流れで各種行政手続きのオンライン化が進みました。当館ではパスポート (旅券) 、各種証明等の申請がオンライン化され、これら手続きの手数料もクレジットカードによる納付が可能になりました。是非ご利用いただければと思います。本年も引き続き在留邦人の皆様の各種手続き等の利便性が高まるよう領事サービスの向上を目指すとともに、皆様のご協力を賜り、皆様への情報発信等支援の充実にも努めて参ります。
年初に当たり、日本人会会員の皆様をはじめマレーシア在留の全邦人の皆様のご健勝を心からお祈りいたします。
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今月の写真
<門松と書道作品>
今月の表紙写真は、手作りの正月飾りと書道部の作品。
この門松は、昨年のチャリティバザーに出品された作品で、バザー開催前に撮影したもの。製作者はJSKL教員配偶者会の皆さん。日本の伝統的な門松にマッチする色柄のバティックを合わせ、オリジナリティー溢れる作品に仕上がっている。驚いたことは、水引き以外はすべてマレーシアで調達した材料で作られていること。竹はハリラヤの時期にホームセンターで手に入るそうで、松の枝を模したグリーンや赤い実も手芸用品店で揃うとのこと。教員配偶者会の皆さんには、毎年チャリティバザーのために創意工夫を凝らしたバティック作品などを多数製作いただいており、当会の会員さんはもちろん、地元の方々の人気を博している。
そして、書道作品は、日本人会の書道部で指導されている下田真希子先生に依頼し、この門松にマッチする「迎春」の文字を書いていただいた。遥か昔の記憶であるが、師走の寒い教室で筆を走らせた墨の香りが思い出され、マレーシアで迎える元旦にも、丁重で厳粛な日本の正月の雰囲気を感じることができた。
海外に住む以上、引越しと無縁ではいられません。帰任辞令が出るタイミングは所属企業によって差があるものの、辞令から帰国までの期間は短いことが一般的です。本帰国、他国へのスライドを含めた海外引越しは面倒な手続きも多く、限られた期間の中での作業は大きな負担になります。海外引越しの基本的なポイントを把握しておくと共に、日頃から本帰国を意識した荷物整理を心がけ、いざ帰国が決まった際の負担やストレスを減らすため、今から独自のTO DOリストを作成していくことをおすすめします。
今特集では、海外引越しにまつわる情報を集めてみましたので参考にしてください。
家族で本帰国の例
◆マレーシアでの手続き
◇日本での新生活の準備
①住居関係 (借家)
◆退去に伴う解約手続き
・契約書で事前通知期限を確認
・エージェント/オーナーに退去希望日を伝える
・敷金の確認
◆引越し業者の決定
下見&見積り&打ち合わせ
◇日本の住居探し
◆荷物の選別 (携帯品、航空便、船便、不要品)
◆日本に持ち帰らない物は早めに処分方法を考える (売却、譲渡、廃棄)
◆エージェント/オーナーが来て要修繕箇所、家具・備品等をチェック
◆住居の清掃
・専門業者によるエアコン掃除、カーテンなど布類のクリーニング
・所属会社にサポートスタッフがいれば相談
・早めにメンテナンススケジュールを組むことが重要
◆荷出し (船便だけ先に出すこともできる)
・搬出日時をコンドミニアム管理事務所に事前申請
・航空便/船便に分けて梱包し、梱包明細書を作成 (セルフ梱包の場合)
◆明け渡し検査への立ち合い
鍵の返却&受領書の受領
◇入居手続き、鍵の受け取り
◇インフラ関係の手続き
電気、ガス、水道、電話、ネット、郵便局の転居届など
◇荷の受け入れ
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② 教育機関
◆子どもが通っている学校に本帰国決定を連絡
◇日本の学校の選定
編入学試験、転校手続き等に必要な書類の取り寄せ
◆塾や習い事の解約
◆スクールバスの解約
◇編入学試験の受験と手続き、学用品の購入
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③ 諸機関
◆就労ビザのキャンセル
◆帰国日確定後、「帰国届」を在外公館へ提出
◆日本人会退会手続き
保証金の返金手続きがあり、早めに「退会届」を提出
(保証金は現地の銀行口座への振り込み、要2週間)
◆現地の各銀行口座の解約手続きを確認しておく
準拠のデポジットの返金等ですぐに解約できないこともある
◆解約手続き
・各種保険 (車両保険、海外旅行者保険など)
必要な手続きと期日を事前に調べておく
・日本人会提携AEONクレジットカードの解約
AEONクレジットカードのカスタマーサービスセンターへ
日本語窓口 Tel 03-2719-9999 (平日9時~18時)
・有料テレビ、WIFI、SIMなど
解約日を決め、ルーターの返却&デポジット返金などを確認
・水道、電気、ガスなど
◆リンギットの換金
◇帰国便の機内で携帯品・別送品申告書を最終チェック
日本に到着後、税関カウンターに提出し捺印をもらう
◇帰国後すぐに転入届 (住民登録) &マイナンバーカードの発行/再交付
転入に必要な書類を各市町村のウェブサイトで確認
◇郵便局に新住所を通知
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④ その他
◆帰国便航空券の手配
◆ペットの帰国手続き (後記参照)
◆車の売却
◆一時滞在ホテルの予約
◆Touch ‘n Goカードの返金・解約
◆お土産の購入
◆出発空港までの車
◇到着空港からの移動手段
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各家庭によって必要な手続きは異なりますので、独自のTO DOリストを作成しましょう。
海外引越のポイント
本帰国が決定したら、まずは帰国日を決め、住居の解約手続きを始めましょう。そして、日本に持ち帰るものと処分するものを決め、引越し業者を呼び、見積もりを出してもらいます。学校への連絡、日本の住居探しなども順に進めます。
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【帰国後の生活をイメージし、手荷物、航空便、船便の順番で仕分ける】
スムーズな引越しには事前の仕分けが重要。新しい生活の中で、いつどの場面で使う物なのかをイメージし、荷出し日、日本での受取日、必要度・重量などを考慮して選別する。船便だけひと足先に出すことも出来るし、船便と航空便を同時に出すことも可能なので、よく考えたい。
【日本への持ち込み禁止品・制限を把握しておく】
禁止品:偽ブランド品、海賊版DVD、わいせつ雑誌、刀剣類など
規制品:石鹸などの化粧品類は24個まで、ワシントン条約で輸入制限がある動植物とその製品、野菜・果物など
免税範囲:酒類3本、たばこ200本、香水2オンス、市価20万円以内の品物など
そのほかにも諸々あるので、通関事情に詳しい引越し業者から最新情報を入手しよう。
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【引越し作業は体力勝負】
帰国してからも各種手続きに忙しいので、体調管理はしっかりと!
帰国前は送別会やお土産の購入などで外出が続き、思ったほど引越しの作業時間が取れないもの。業者の力を借りるのがベスト。自分たちで梱包するコースを選択する場合、梱包明細書の作成を念頭に置いて段ボールごとの内容物のメモを作成するが、かなりの労力と覚悟が必要。帰国後も留守宅荷物の搬入、航空便の配達、船便の配達と五月雨式に荷入れ作業があり、片付けに追われることを理解しておこう。
【日本の家は狭い!日頃から本帰国を念頭においた荷物整理を】
身の回りの物を定期的に見直し、とにかく荷物を増やさない!
日本へ持ち帰りたいものは、一時帰国の際に持っていけるとベスト。南国でマッチした服、サンダル、カゴバッグも日本では合わないと感じることが多い。年に二度ほど、すべてのクローゼットを開けて何があるかを確認し、本帰国時に処分する物をイメージしておくとよい。
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【ペットの輸送手続き】
ペットの日本入国には、帰国日の8か月以上前からの準備が必要。
・マイクロチップの埋め込み(個体識別)
・狂犬病予防接種(2回)
・狂犬病抗体検査 (検査日から数えて180日間の輸出前待機が必要)
・ペットを輸送できるフライトを予約
・日本到着日の40日前までに、到着空港動物検疫所へ届出書の提出
・出国直前 (10日以内) に獣医師による健康検査を受け、政府機関発行の証明書を取得
・到着空港の動物検疫所で輸入検査
・条件不備の場合、動物検疫所の施設で係留検査(係留費用はすべて飼い主負担)
ペット輸送の手続きも代行してくれる引越し業者を利用するのが安心である。
日本に犬・猫を輸入するための手引書(動物検疫所)
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【不用品の処分の方法】
引越し業者に頼めない項目に不用品の処分がある。引越し直前まで使う物もあるが、処分できるものから手放すとよい。
処分方法の一例:
・個人のガレージセール
・日本人会の掲示板「売ります」の利用 (会員の営利目的でないものは無料で掲載可)
・街中のリサイクルボックスの利用、リサイクルショップに買い取ってもらう
・コンドミニアムの清掃員などに声をかけると、喜んでもらってくれることが多い
【借家の明け渡しから日本の住居に入るまで】
借家を明け渡してから帰国日までの宿泊、空港までの車の手配、日本の空港からの移動方法など事前準備を万端にし、心配事を減らしたいもの。最後の日に泊まりたいホテル、持って帰りたいお土産、もう一度行きたいレストラン、最後に食べたいローカルフードなど、心残りなく出発できるように家族で計画を練るとよいだろう。
本帰国経験者の体験談
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捨てるにはもったいないという物は、周りに声をかけて譲った。荷物を減らしたつもりでも、帰国後半年間は開けないダンボール箱があった。日本の家は狭いので、ダンボール箱で埋め尽くされると結構なストレスに。思い出の物や高級な物以外は、日本で買い換えるつもりでいた方がよかった。
マレーシアの生活でかなり物が増えてしまった。船便が到着し、無理やり家に段ボール箱を入れるも、忙しいし、片付ける気持ちが全く湧かない。恐る恐る開けて見ると「何でこんな物を持って帰ったんだあ?!」と叫びたくなった。
必要な証明書は早くから学校にお願いしておくこと。成績証明書、在学証明書、ボランティア活動証明書、スポーツや音楽などの活動証明書など、日本で帰国生受験する際に証明できるものがあれば活用したい。事務手続きは日本と比べ10倍遅いと考えて! 更にスペルミスや他人の名前だったりというミスが発生することも。また、快く引き受けてもらえない場合もあり、感謝の気持ちを伝えることもお忘れなく。本帰国後に必要書類が発生することも想定し、担当者名など控えておくと安心。
新しい生活をイメージし、多めに買って帰ったつもりだったが、足りなくなった。余ったら自分で使うくらいの気持ちで、多めに持ち帰ってちょうどかもしれない。幸い我が家の場合は母子だけの本帰国だったため、主人の一時帰国の際に持ち帰ってもらった。
こちらに住み始めた頃は、あれもこれも購入して日本の親戚や友達にプレゼント。しかし何年も居るとお土産もマンネリに。良かったことは当地ならではの習い事をしたこと。バティックフラワー、マレー菓子、テータレ、チキンカレーなど。日本で入手しづらい材料は自分流にアレンジして作るのが楽しいし、喜ばれる。
犬の日本入国条件である狂犬病予防接種が間に合わず、本帰国の日はマレーシアに愛犬を置いていかざるを得なかった。在馬の友人に頼んで預かってもらい、半年後に引き取りに来ることになり、深く後悔した。別の知り合いの犬は、日本の動物検疫所の施設で2週間ほど係留され、犬にとってもストレスだったし、係留費用も高かったと聞いた。
引越し業者が来ていよいよ荷を出すという日は、手荷物で持って帰る物と家を明け渡す日まで使用し処分していく物を一つの部屋に入れて鍵をかけ、引越し業者が来ている間は決して開けないようにした。同じような段ボール箱が山積みになるので、紛れ込まないように気を付けたい。
マイカーでは運べない本棚などを友人に譲るため、「ララムーブ」のアプリをダウンロードし、トラックを手配した。
アプリ上に「トラックとドライバー&補助者を手配する」というボタンがあり、そこで日時やトラックの大きさ、補助者の要否など選ぶことができ、必要事項や条件を入力すると、アプリに登録している業者がいくつかヒットしてくる。アプリ内ですべて完結し、とても便利だった。
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借家の退去間際になって、入居時以上の過剰なリクエストをエージェント側から受け、不信感が残った。物理的にできない清掃以外はリクエストに従ったが、入居時に初期状態を写真などで残しておけばよかったと反省。
鍵の返却日についてオーナーに相談し、出発日までコンドで過ごせるように手配したので、ホテルの宿泊はなし。知人に譲る電化製品などは最終日に取りに来てもらうようにした。
・車の売却が帰国直前になり、思うような価格で売れなかった
・ペット、特に犬の場合は事前に犬OKのタクシーを探しておきたい
・マレーシアに来る前に布団を処分してきたので、日本で貸し布団の申し込みをしておいてよかった
・日本にマレーシア料理店は少ないので、好きなマレーシア料理のレトルトを多めに買っておけばよかった
婦人部かとれあ会
【寄付先福祉施設の訪問レポート】
かとれあ会では、毎年チャリティバザーの収益金をマレーシア国内の福祉施設にお届けしています。寄付先福祉施設を訪問し、施設状況や寄付金、寄付品が有効活用されているか確認しています。今回は、修成林福祉人工透析センターのオンライン施設訪問を行いましたので、ご報告いたします。
修成林福祉人工透析センター
Yayasan Kebajikan SSL Haemodialysis
1994年に貧しい患者に人工透析を受けさせるために、仏教寺院修成林が設立したマレーシアで最初の福祉人工透析センター。透析だけでなく、リハビリ、老人医療、デイケアなど、包括的な医療の提供を目指している。
【日本人会からの寄付金の使途】
- 2021年度 RM15,860
PPE (個人用防護具) と消毒液 - 2022年度 RM12,000
消毒液 1L x 32 ボトル
◇施設訪問を終えての感想
運営やサポートが丁寧に行われていて、特に貧困患者や家族への包括的な支援が印象的でした。大学病院との協力体制が整っており、医療的にも信頼できる施設だということが分かりました。このセンターが提供する包括的なケアが利用者の命に関わる大切な活動であると感じました。
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【かとれあminiバザー】
11月15〜17日の3日間「かとれあminiバザー」を開催しました。かとれあminiバザーでは、手芸品の他にも、日本人学校で回収した学用品や式服、各方面から寄付いただいた食器や雑貨を販売しました。幼稚園の保護者参観に来られた保護者の方やサークル活動で来館された方など、多くの方がお買い物を楽しんでくださいました。かとれあminiバザーでの収益金は、チャリティバザーの収益金と併せて、福祉施設へ寄付いたします。
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【PJスパスティックセンター主催チャリティマラソン大会】
11月19日にPJスパスティックセンター主催で開催された「28TH Annual Charity WALK-JOG-WHEEL-A-THON」にかとれあ会の亀島会長が参加しました。脳性まひの子ども達を支援するPJスパスティックセンターは、寄付先施設の一つです。今年度は、KL走馬会の方が参加されるなど、例年より多くの日本人が参加したとのことです。センターの子ども達も屋外に出て、表情が晴れやかです!
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かとれあ会の亀島会長 (中央左)、施設の子どもたちと記念撮影
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逢坂治可 JSKL PTA会長 (左) とご友人の田中惠美果さん (右) も参加されました
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JICAだより
<ペラ州タイピン市で電動バス運行開始>
JICA マレーシア事務所
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充電中の電動バス(50~80km走行のために必要な電気を1時間で充電)
読者の皆様はペラ州のタイピン市をご存じでしょうか。チキンライスやもやしで有名な州都イポーから、車で1時間ほど北西に進んだところにある地方都市です。比較的、こぢんまりした都市ですが、19世紀にスズが発見され中国から移民が流入し大いに発展しました。イギリスに統治された時から1930年代までペラ州の州都になり、マレー半島で初めての鉄道や博物館、病院、刑務所ができた歴史的に興味深い場所です。ナイトサファリのある動物園があったり、タイピン市から距離が少し離れていますがレンゴン渓谷の考古遺跡の世界遺産があったりと、観光の魅力を持っています。ここで今、日本から電動バスを導入し実証運行するというJICAの事業が行われています。JICAは様々なパートナーと協力して事業を行っており、今回は日本の企業である株式会社ピューズとの民間連携事業になります。
タイピン市は環境に配慮した都市開発を目指しており、排気ガスゼロの電動バスを公共交通に使用することに意欲的でした。しかし、高度な知見が必要な電動バスを導入することは技術的に困難でした。一方で、長年にわたる電動車両の開発実績がある (株) ピューズは、海外での事業展開に向けて、運行条件などの現地情報を集めるために、海外で電動バスを試験走行することが必要だったのです。
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引き渡し式の様子
こうした背景もあり、JICAと (株) ピューズが協力し、タイピン市にて電動バスの導入と実証運行を2016年から行うこととなりました。しかし、想定外の問題がいくつも発生します。特に影響が大きかったのは、やはり新型コロナウイルスの蔓延です。電動バスがマレーシアに到着したものの新型コロナウイルスの蔓延とそれに伴う行動規制の影響で実証運行を開始できませんでした。その間に、何度か必要な許認可を取り直す必要もあり、多くの時間と労力を費やすことになりました。また、マレーシア政府の突然の法令変更に伴い、電動バスの仕様を急遽変えなければならなかったこともありました。このような困難がありつつも、日本側、マレーシア側それぞれがあきらめずに根気強く対応した甲斐あって、無事に電動バスの実証走行をタイピン市で開始することができました。2023年9月14日には現地で車両引渡しのセレモニーも行われ、本格的に実証運行がスタートしています。
現在、バスはタイピン市の観光ルートである約11.5kmのTaiping Heritage Trailを周遊するルートを走行しています。緑溢れる公園や、歴史博物館、タイピン動物園など、市の観光名所を50分くらいで一周回ることができます。ぜひ一度タイピン市を訪れ、日本の路線バスの形をした電動バスに揺られてタイピン観光を楽しんでみてはいかがでしょうか。
プロジェクトの詳細については、以下のプレスリリースをご参照ください。
https://www.jica.go.jp/overseas/malaysia/information/press/2023/__icsFiles/afieldfile/2023/09/26/press_denki_2.pdf
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バスの運行ルート
以下のウェブサイトにも情報が載っています。
https://www.taiping.my/blog/guides/taiping-heritage-trail-40-interesting-places-in-taiping/
<ワンタンミー>
料理講習会講師 ちはる
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当地の麺料理「ワンタンミー」はスープ麺とドライ麺 (ソース麺) の異なる味が楽しめますが、スープ麺は出汁が命。今回紹介するスープ麺は、エビの殻やチキンの骨を使う伝統的な調理法をベースに、大豆を加え、少し甘みも出したオリジナルのレシピです。サラッとしながらも、奥深いエビの香りとコクがあり、飲み干したくなるような旨味のあるスープです。
ワンタンは、ポークではなくチキンを使い、キクラゲを加えることで歯ごたえもよくなり、美味しく仕上がります。沢山作って冷凍保存しておくこともできます。
なお、このメニューは次回の料理講習会で実習しますので、興味のある方はぜひご参加ください。
🍳ワンタン 約20個分
- ワンタン皮 20枚
- 鶏胸肉ミンチ 200g
- 生姜 大さじ1
- ニンニク 小さじ1/2
- 小ネギ 小口切り 大さじ2
- キクラゲ みじん切り 少々
- 片栗粉 小さじ1/2
- 塩 小さじ1/2
- ゴマ油 小さじ1/2
- 白胡椒 小さじ1/4
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ワンタンの皮
スーパーマーケットの冷蔵コーナーで購入可
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①すべての材料を混ぜ合わせる
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②ワンタンの皮の縁に水をつけ、好きな形に包む
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たくさん作って冷凍保存もできる
🍳スープ 4人分
- 水 2ℓ
- 乾燥大豆 50g
- エビ 12匹 (中サイズ)
- ネギ (白い部分) 少々
- チキン骨付き 200g
- フィッシュソース 小さじ5
- ローカル醤油 小さじ2
- 塩 小さじ1+1/2 (味見しながら)
- 砂糖 小さじ1
- 白胡椒 少々
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フィッシュソース
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下準備:乾燥大豆50gは、5時間ほど水に浸けて戻しておく
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①エビは殻と頭(髭と目玉を除く) だけ鍋に入れ、身は後で使うので背わたを除き酒を振っておく
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②鍋に調味料以外の材料を入れて沸騰させ、アクを除きながら中火で30分煮る
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③調味料を加えて味を整え、数分煮たら出汁の具材をすべて取り除く
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④エビの身とワンタンを入れ、数分煮たら完成
🍳ワンタン麺 4人分
- ワンタン麺 4玉
- チンゲン菜などの青菜 200g
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ワンタンミー用の麺
スーパーマーケットの冷蔵コーナーで購入可
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①茹でる前に、1人前ずつ手でほぐしておく
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②お湯でチンゲン菜を数分茹でて取り出す
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③そのお湯で麺も茹でる。1人前ずつ、各25秒ほど茹でる
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④ボールに水を張っておき、茹でた麺を入れて引き締める
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⑤冷やした麵を温めるため、再び熱湯に5秒ほど浸ける
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⑥麺の水気をよく切り、器に盛る
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⑦麺にエビ、ワンタン、チンゲン菜を載せスープを注ぎ、白胡椒を振る
※スープの出汁に使用した鶏肉と大豆は、旨味が残っているので、そのまま副菜として食べられます。
今月の漢方
<ナマコ>
国際中医薬膳師/中医実習生 坪井良和
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ナマコの種類 : マレーシアではトゲのない物が比較的安価に手に入る
中国語ではその栄養価から「海の高麗人参=海参」という名のついているナマコ。乾燥海産物「海味」のなかでも乾燥ホタテ (干貝)、乾燥アワビ (鮑魚) と並び高価な食材の一つで、今年は2月10日に迎える中華正月に向けた贈答品としても有名だ。ちなみに、このホタテ、アワビ、ナマコの海味三種、大きさや品質いずれをとっても日本産が最高品とされている。
日本ではナマコといえば酢の物や和え物などの生食、さらにはコノワタやクチコなど内臓は加工品として無駄なくいただくものだが、中国料理では内臓を取り除いたものを乾燥させて保存し、それを真水で戻し、さらに火を通して味を含ませて食べるのが一般的。マレーシアでは、肌や粘膜を保湿し、傷の修復作用に優れているとしてナマコ石鹸やエキス状栄養食品としてもポピュラーだ。
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ナマコ石鹸
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ナマコエキスのゼリー状栄養食品:普段使いの栄養補助食品としても、また、外科的手術や火傷などのお見舞い品にも用いられる
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ナマコ即席食品:味付け済みのもの、水で戻しただけのものなど様々
中医学におけるナマコは、体を温める食性があり、味は鹹性、心と腎に効きやすい。疲労回復、免疫力アップ、強壮、老化防止などに効果があるとされている。ナマコは、体を切り刻まれてもその傷を自分で治し、再生するというから、昔の人々は、その再生能力と修復能力の強靭さにあやかりたいと思ったのだろう。現在ではその薬理効果が徐々に解析され、まさに、高麗人参にも含まれるサポニン、コラーゲン、各種アミノ酸が豊富で、従来の機能に加え抗腫瘍、抗炎症、降圧、血糖降下などの作用も期待されている。ただし、一時的な咳や痰、発熱や炎症、関節炎などの急性症状がある場合には、症状を悪化させてしまう場合があるので、注意が必要。痛みや腫れが引いてから少量ずつ試してみよう。海産物にアレルギーがある場合も摂取は控えたい。
乾燥ナマコそのものに味はなく、戻すのに時間も手間もかかるので、中華レストランの煮込み料理として出合うことがほとんどかもしれない。最近では、水煮のものを冷凍や真空パックで販売しているところも見かけるので、自宅でも調理しやすくなった。乾燥シイタケと煮含めたり (海参冬菇煲)、豚足と煮込んだもの (海参燜猪手) は中華正月の代表的なご馳走だ。ナマコをいただいた次の日は心なしかお肌のハリもツヤもいいような気がする、私の大好きな料理である。
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ナマコと豚足の煮込み:中華料理では、縁起を担いで、福を招くブタの「手」 (猪手) と呼ばれることが多い豚足とナマコの煮込み料理
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第29回 新年会のご案内 (会員限定)
1月 13日 (土) 16:00~20:00 KL日本人会会館にて
令和六年の新年会は、当会の駐車場スペースに屋台がたくさん出ることになりました。テント10張りに日本食を中心とした食品が並び、夏祭りのような雰囲気を楽しんでいただきます。もちろん、日本の正月らしい絵馬作りや福笑い、餅つき体験などもご用意しています。ほかにも、ヨーヨー釣り、お茶席や部同好会の体験コーナー、ステージ発表などがあり、ご家族皆さんで楽しめるイベントとなっています。
プログラムはこちら 会場レイアウトはこちら
なお、当日は駐車場に屋台を設営するため、駐車スペースがありません。公共交通機関をご利用いただくなど、ご協力をお願いいたします。駐車場に関してはこちらをご参照ください。
新年会実行委員会
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岩手県知事の表敬訪問
12月22日 (金)、岩手県の達増拓也知事をはじめとした岩手県関係者がKL日本人会会館に来館され、当会側からは堀口副会長と柳井事務局長がお迎え致しました。
岩手県の農林水産物や加工品を広く紹介する為の、県主催の岩手フェアがクアラルンプール市内のショッピングモール等で開催される中、マレーシアと岩手県との今後の交流などについて、和やかな歓談の場となりました。
岩手県の達増拓也知事(中央)
懇談会の模様
達増知事から堀口副会長に記念品贈呈
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クリスマス会の開催報告
12月16日(土)に日本人会会館にて、恒例のクリスマス会が開催されました。約800人のご来場があり、どのコーナーでも大変な賑わいを見せていました。
当日ボランティアとしてお手伝いいただいた帝京マレーシア日本語学院の学生さん、ありがとうございました。
工作・体験コーナー
ドローンで遊ぼう
定位置に着地させるのは結構難しい
バスボム作り
意外と簡単に作れました
プラ板工作 手作りアクセサリー
加熱すると縮まって色柄がくっきり
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砂絵 sand art
細かく色分けして素敵な仕上がりに
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竹とんぼ作り
竹とんぼ部の皆さんが飛ばし方までアドバイス
クッキーデコ完成品
いろいろな色を使ってクリスマスを表現
パフォーマンス
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オカリナ同好会
キッズヒップホップダンス同好会
ジュニアミュージックサークル部
杖道・居合道同好会
邦楽演奏同好会
バラードバンドサークル同好会
ミュージックアンサンブル同好会
KLフラハイビスカス子ども同好会
来場者の皆さま
オラフと記念撮影
突然の登場にびっくりしたね
バルーンアートのピエロさんと
ステージ発表も満席に
射的とアーチェリー
ポップコーンの無料配布
サンタさんからプレゼント
フォトスポットで記念撮影
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12月6日(水)に開催されましたはぐくみ会では、13名のお子さんのご参加があり、にぎやかに開催されました。サンタさんが登場して、一緒に歌を歌ったり、一人ずつプレゼントも受け取りました。サンタにびっくりして泣いてしまう子もいましたが、最後は一緒に写真を撮って、クリスマスの雰囲気を楽しむことが出来ました。
はぐくみ会はボランティアの方により、幼いお子様と親子で楽しめる遊びを企画されています。今後もたくさんのご参加をお待ちしております。
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えっ!マレーシア <換気扇の煙はどこへ?>
皆さんのお宅の換気扇はちゃんと機能しているだろうか。
かくいう我が家の換気扇 (レンジフード) も、コンロの上のキャビネットにすっぽりと収納されていて、どこからどう見てもダクトがない。換気扇と排気口をつなぐダクトがないということは、吸い込んだ煙はどうなるのだろうか。油を含んだ空気をフィルターで吸い取ることはできるものの、煙や臭いを屋外に放出することはできない。
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マレーシアでは、ウェットキッチンとドライキッチンの二つのキッチンが備わっている物件が多い。もともとキッチンは1つだけであった間取りでも、ランドリースペースの半屋外にガス台を設置したり、バックヤードにウェットキッチンを増築することがある。なぜかと言うと、マレーシアでは換気扇やダクト・排気口を考慮せずに建設されている住居が多いからである。換気が重要視されてこなかったのは、外食文化が根強いことも関係しているだろう。
もともとあるキッチンは、ドライキッチンと呼ばれ、冷蔵庫を置いたり、電子レンジや炊飯器などを使った簡単な調理、そして食材・食器の保管スペースとして使用する。あまり汚れないので拭き掃除で済ませられるという利点もある。もしもお宅のキッチンが、においや煙がこもって気になるようなら、ドアがあれば閉め、なければ暖簾やカーテンを突っ張り棒で吊るし、扇風機を戸外に向けて回すなどしてはいかがだろうか。
JCKLニュースレター
【編集委員】
- 柳井 教男(編集長)
- 松尾 義裕(副編集長)
- 勝田 羊奈子(編集委員)
- 澤村 文江(編集委員)
- 矢内 理砂子(編集委員)
- 和嶋 初代(編集委員)
- 工藤 詩子(かとれあ会)
- 齋藤 紀子(かとれあ会)
*掲載の内容は変更が生じる場合があります。
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