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デジタル版
JCKLニュースレター

タイムリー且つ皆様のお役に立つ情報発信を心掛け、毎月初旬にお届けいたします。
 


 

今月の写真
<クアラ・カンサーのウブディア・モスク>


ペラ州の州都イポーから北西へ車で約1時間の距離にあるのがクアラ・カンサー。ペラのスルタンが住む王宮があるので「王都」と呼ばれるが、街全体は穏やかな田舎町といった印象だ。そのクアラ・カンサーには、マレーシアで最も美しいモスクの一つに数えられるウブディア・モスクがある。さまざまな形のアーチが、大小複数ある黄金のドームをいただく複雑な構造であるせいか、その美しさには独特の迫力がある。訪れた日は、モスクの前で結婚式の参加者とおぼしき人々が記念写真を撮っていた。

モスクのガイド兼ガードマンの男性によると、床の大理石はイタリアから取り寄せたものの、スルタンの象が踏みつけて破壊してしまい、建設が遅れたというエピソードがあるのだとか。モスクのそばにはペラ川が流れているので、大理石を積んだ船はマラッカ海峡をへて、このペラ川をさかのぼってきたのだろうか。さらに車で20分の場所にあるマレーシア最古の鉄橋ヴィクトリア・ブリッジから悠然と流れるペラ川を眺めて、クアラ・カンサーへの小旅行をしめくくった。

 

 

  マレーシアの医療事情

日本と遜色ないマレーシアの医療レベル
クアラルンプールとその近郊の主な病院は、診療レベルや設備面で日本の病院と比べて引けを取らず、邦人が診療を受けるのに特に問題はないと思われます。しかし、日本と大きく異なる点もあるので注意が必要です。
 


①国公立病院・私立病院
国公立病院 General Hospital等>
診療費は比較的安いが、医師の数、技術、入院施設等の一般的体制の充実度が日本に比べて低いため、日本人にはお勧め出来ない。マレー語で診察となることも、その一つの理由である。
私立病院 Private Hospital>
国公立病院のように終日混雑しているわけでもなく、設備も新しく清潔だが、治療費はかなり高額。
健康に自信がある人でも、日本を出国する前に海外旅行傷害保険などに加入しておきたい。

私立病院での入院費用の目安
デング熱:RM8,000~RM15,000
出産入院:帝王切開RM12,000~RM20,000 普通分娩RM10,000程度

  • 保険加入者は保険証書を提出する
  • 勤務先からの支払保証書またはクレジットカードの提示を求められる
  • 手術/高度な検査機器には相応の保証金を請求される
    (払わない限り、一切処置してもらえない)
  • 入院時にデポジットが必要 RM5,000~
    手術を含む入院の場合は見積額の8割程度~全額
  • 部屋代:個室RM280/日 ニ人部屋RM180/日 四人部屋RM120/日
  • その他費用:回診費、手術代、検査代、投薬費など
    (夜間・土日・祝日は割増料金が発生する)


日頃の備え
常用薬や病歴、手術歴、薬アレルギーの有無などを英文で準備しておくこと。
利用したい病院を決めておき、事前に病院見学しておくとよい。


②一般医と専門医
日本と異なる一般医制
一般医 (General Practitioner) と呼ばれる医師が、総合病院やクリニックにおいてプライマリケアを担当する。病院の急患窓口で診ている医師も、街の小さな診療所で診ている医師も一般医である。ファミリードクターともよばれ、健康上の相談を幅広く受ける家庭医でもある。
専門医 (Specialist Doctor) 
初診を担当した一般医によって専門性が必要だと判断された場合、専門医が紹介される。
特筆すべきは、私立病院では専門医が個々に病院側と契約し、病院内に個人のクリニックを開業している点だ。同じ診療科目でも複数のクリニックが入っているので、どのクリニックにかかるかは患者自身が選ばなければならない。ネットで評判を確認したり、病院所属の日本語通訳者に相談するという手もある。
もちろん、後から医師を替えることはできるし、セカンドオピニオンを求めることも当地では一般的であり、躊躇する必要はまったくない

処方薬
医薬分業が実施されていないため、院内の薬局で薬を受け取る。

セカンドオピニオンを求めることは一般的

支払いを済ませた後に院内の薬局で薬を受け取る
 

③救急車
<救急搬送は日本とは全く異なる>
緊急番号999に電話すると例外なく国公立病院に運ばれるが、上記で述べたように、国公立病院ではマレー語しか通じないなどの理由により、注意が必要だ。また患者数が多く混雑が激しいため、救急で運ばれてもすぐに診てもらえないと思ったほうが良い。

私立病院の救急車、または民間の救急車を利用しよう!(有料) 


 
救急車利用上の注意点
  • 希望の搬送先病院を決めておき、連絡先は普段から目の届く場所に置いておく
  • 救急車を所有していない私立病院に行きたい場合は、民間の救急車を呼んで希望搬送先の病院名を伝える
  • 料金は昼間RM400-500程度、休日/夜間 RM500-600程度
    (料金は距離、病院によって異なる)
  • 電話で救急車を呼ぶ際に自分の住所・電話番号・具体的な症状を英語で伝える
  • 電話を掛ける人が動転するため、持病/常用薬/薬アレルギー有無などを英語で控えておく
  • 重篤な状態でなければ自家用車またはタクシーを利用する手もあるが、通勤時間帯は渋滞するので注意したい
 


 民間救急車 

First Ambulance 
 Tel 1300-88-1919

ST.JOHN AMBULANS KL
 Tel 03-9285-5294

私立病院が所有する救急車の電話番号は、下記の「私立病院/クリニックリスト」から確認し、携帯電話に登録しておきたい。


KL近郊の日本語が通じる私立病院&クリニックの紹介

 


マレーシアの国公立病院では、ほぼマレー語での対応となるため、日本語が通じる私立病院やクリニックの情報を把握しておきましょう。病院・クリニックリストを当会ホームページの「お役立ち情報」に常時掲載していますので、ご活用ください。

 

  マレーシアでの病院体験談


在馬邦人の皆さんが当地で安心して暮らすためには、医療面の備えが大切です。日本の病院との違いを知るうえで参考になる体験談を紹介します。
 

私立病院には日本と違ったシステムがある (30代女性)

マレーシアの大病院の中には、テナントとして小さなクリニックがたくさん入っている。整形外科5軒、泌尿器科4軒、産婦人科5軒といった具合に。そのため、自分の症状、評判を参考に自分でクリニックを選ばなければならない。
これにはメリットもある。私は膝の痛みを理由に大きな病院にかかったが、膝の専門家に絞って良いお医者さんに出会えたと思う。各病院にはホームぺージがあり、そこから自分の症状に合わせた先生が探せるので、是非トライしてほしい。病院を訪れる前に、保険会社や病院常駐の通訳さんに相談するのもいいだろう。
なお、一人の専門医が複数の病院・クリニックに所属していることも少なくない。月・水はA病院で診察、火・木はB病院、金曜日はCクリニックといった具合だ。専門医は事前にアポイントが必要なことが多いので、ホームページなどで確認したい。

入院日数の短さに驚き!  (40代女性)

数年前に婦人科の手術を受けた。全身麻酔の開腹手術だが4泊5日で退院した。日本と一番違うのは入院日数かも知れない。日本で同様の手術を受けた場合、最低でも2週間の入院だと友人に驚かれた。マレーシアの場合全般に入院日数は短く、退院後自宅療養というのが一般的なようだ。
手術費は日本の大学病院で手術した場合より高額だったと思う。海外医療保険に加入している外国人の場合、惜しみなく最新医療機器を使ってもらえ、私の場合は輸血しなくて済むように、手術中に出血した自分の血液を再生利用する為の機器を使用した。高額だった。それでも「初めまして」の握手から診察が始まり、丁寧に話も聞いてもらえ、先生に対して信頼感を持って受診できたから、悪い事ばかりではなかったように思う。事前の情報収集をしっかり行い、納得したうえで治療する事が重要だと感じた。

定期健診で胃粘膜下の腫瘍が見つかる (70代男性)

数年前に会社の定期健診でおこなった胃のスコープ検査でGIST (消化管間質腫瘍) が見つかった。粘膜の下にある筋肉層の細胞から発生する悪性腫瘍で、症状が全然なかったため、検査していなければ気づかなかっただろう。
私の場合、食道と胃袋がつながるくびれ部分 (噴門部) に出来ており、手術方法を検討した。その私立病院ではその部位の腹腔鏡手術ができないと担当医に言われ、開腹手術を提案されたが、知り合いの医療従事経験者の勧めで日本の医師に診てもらい、日本で腹腔鏡手術を受けることにした。医師に遠慮しないでセカンドオピニオンを求め、その中から自分でドクター・治療方法を選ぶことが大切だと感じた。

時には患者側から強くリクエストすることも必要 (50代男性)

仕事中に体のだるさと高熱に襲われ総合病院に駆け込んだ。日本からの出張者が体調を崩しており、インフルエンザかもしれないという予感がした。救急外来に行くと住んでいる地域を聞かれ、モントキアラであることを伝えると「デング熱の可能性が高い」と言われ血液検査をすることになった。このエリアからデング熱患者が出ているという理由だ。しかし私の中ではインフルエンザの可能性が高いという思いがありドクターに伝えたが、「違う」と切り捨てられた。その後、ナースが私の血液検査の書類を準備していたので検査項目を見せてもらったところ、やはりインフルエンザが含まれていなかったため、ナースに懇願して加えてもらった。
そして体のだるさに耐えながら病院で結果を待つこと2時間。結果は...A型インフルエンザ。その検査結果を見て先ほどのドクターが苦笑したことは言うまでもない。

突然の「まさか」に備える (60代女性)

高熱が出てかかりつけのクリニックを受診すると、デング熱であった。すぐに紹介状を持って総合病院へ。病歴などを聞かれ、即入院。それも集中治療室。多くの管等に繋がれ、点滴の日々が始まった。そして毎日の採血検査。2日目にして両腕は青アザだらけとなった。夜になるとスタッフの人数が少なくなり迅速な対応に欠けるのは日本と同じようだ。日本の病院のICUの経験があるが、ここでは若干の不安を感じる事がある。それはスタッフは優しいが若い人が多く、経験値の低さが目につく。計器の警報音が鳴りひびいても点滴が終りそうになっても誰もこない。日に何度もナースコールするのもかなりのストレスに感じていた。症状が落ちつき、一般病棟に移ったのは4日目の夜だった。結局8日間の入院となり、加入していた保険では不足し、手だしの支払いが必要となった。それも結構な額で、まさかであった。
退院後は、肝臓の機能が低下しているとの事で1か月は運動禁止。やっと快復したのもつかの間で、今度はコロナに罹患し、自宅療養5日間。その後は、かぜを引いたら咳こむ日々が続く。免疫機能低下を実感する日々であった。
それから3か月、今度は蜂に刺された。以前、ドクターに次に刺されたら1時間以内に医療機関の受診をと助言されていた事を思いだし、すぐにクリニックへ。以前のドクターからの助言、今の症状等を説明すると、すぐに対応してくれた。すでにアレルギー症状がでていたので、ホっとした。
このように、異国での生活にはパニックになりそうなまさかがある。医療保険や医療機関の情報など、平時の折に準備が不可欠であると実感した。

マレーシアで出産入院 (20代女性)

第一子を日本で、第二子を昨年マレーシアで出産したが、日本とマレーシアの違いを多々感じた。
まず妊婦健診。日本のエコー検査はとても簡易的で毎回5分程度で終わっていたが、マレーシアで私を担当してくれたドクターは15~20分ほどかけて胎児に異常がないかじっくりと診てくれた。ドクターによって対応に差はあると思うが、私の場合とても安心することができた。
次に出産時。日本では痛みを我慢してとにかく耐える時間が長かったが、マレーシアでは母体になるべくストレスを与えないように楽な方法を提案してくれた為、余裕を持って出産できた。生まれてすぐに予防接種を打つ事には驚いたが、マレーシアでしばらく生きていくのだからと思い、打ってもらった。日本では産まれてすぐに記念写真を撮ってくれたが、こちらでは何も言われなかった為スタッフに撮影をお願いしたところ、少しぶれている写真を撮ってくれたのも良い思い出だ。
最後に入院について。日本のような豪華な病院食はないが、辛いインドカレーやカラフルなマレー菓子が出て来た時はマレーシアらしくて笑ってしまったけれど、総じて、リラックスした素晴らしいお産になった事に感謝している。
日本では授乳や赤ちゃんとの生活について丁寧な指導やサポートがあるが、(2人目という事もあるが…)マレーシアではそこまでなかったので、日本にいる時以上にアンテナを張って赤ちゃんを育てていかなければならないと感じた。

点滴治療のため入院  病室への人の出入りが多い!

これまでにマレーシア以外の国にも住んだことはあるけれど、KLは日本語通訳サービスのある私立病院・クリニックがたくさんあり心強く、住みやすい国だと感じている。
私が炎症の治療のため当地の私立病院に入院したのは夕方の6時過ぎだった。投薬のための点滴開始は夜11時過ぎだったと思う。「点滴が終わったらコールしてね」と言われ、点滴が終わり、やっと眠れたと思ったら、夜中の1時に「これからCTスキャンを取りに行く」と起こされた。翌日も朝5時過ぎから、血圧、血中酸素、体温を測りに看護婦さんが来てくれた。夜11時半から点滴が始まった日には思わず寝てしまって、気がついた夜中の1時過ぎにナースコールして管を抜いてもらったこともあった。
病室には、一日中たくさんのスタッフが出入りする。食事が1日に4回あり (朝食、昼食、アフタヌーンティー、夕食) その配膳係、清掃員 (ゴミを回収する人、床を掃除する人、洗面室を掃除する人というように細かく分担されている)、もちろんお医者さんの回診、1日3回薬を持ってきてくださる看護婦さんもいる。いったい一日に何人のスタッフが病室に来てくれるのやら。日本の病院に比べて、病院を支える職員の数がとても多いと感じた。また相部屋の場合は、お見舞いに来る人が多いうえに大声でしゃべるマレーシア人が多いと聞く。このように病室では意外と落ち着かないのだが、休める時間帯にはしっかりと休むようにしたい。

自分に合った医療機関と医師を探そう (60代女性)

マレーシアが気に入って住み始め、早6年。私立総合病院の充実ぶりにも大変満足している。受診したい時は日本語通訳の方WhatsAppで連絡するだけで予約をとっていただける。もちろん受診時の通訳も行っていただける。施設も充実していて、ホテルと見間違うような雰囲気さえある。
海外旅行保険を利用しての受診は原則キャッシュレス。受診前に保険会社に電話 (フリーコール) で、受診内容、受診日時、担当医名等を伝える。タクシー等の交通費も後日手続きをすると保険会社から支払われる。私立の総合病院の治療費は高額で、日本とは異なる気候や環境で様々な症状が現われるため、海外旅行傷害保険はやはり不可欠。
近所のローカルクリニックの受診経験もある。急を要したため、英語のできる知人に付き添ってもらい受診した。以前そのクリニックでコロナワクチンを接種したことがあり、口コミ評価も高かったので行くことを決めた。そこの主治医はPCで資料を見せながら、全ての質問に納得いくまで答えてくれ、大変良心的だった。再診は一人で行ったが、理解できない内容は翻訳機能を使って伝えてくれた。そして、一番の驚きは治療費の安さである。保険が効かなくてもこの金額、そしてこの先生なら、風邪等の軽い症状や急を要する時にはここで受診しようと思った。歩いて行ける所に安心できるクリニックを見つけられて、心強い思いがした。知人の紹介・口コミなどで情報収集し、いざという時に頼れる医療機関、医師を見つけておくと安心だ。


 


婦人部かとれあ会

第2回福祉施設ボランティアグループ連絡係連絡会

 

2月15日 (木)、PJスパスティックセンターとブキナナス身障者施設ボランティアの各連絡係の方々より、今年度の活動をご報告いただきました。

PJスパスティックセンターでは、脳性麻痺の施設利用者の方々の生活の質向上のため、運動機能のリハビリテーションを行っています。その一環として、音楽に合わせた体操をする際のお手伝い等をボランティアの方々が行っています。今年度は、施設側の都合により活動日の調整が難しいこともある中、精力的に活動されました。

ブキナナス身障者施設では、高齢の施設利用者へのコロナ感染リスクの懸念から、施設側の要望により施設内への訪問を差し控える状況が続く中、入居者が制作する手芸作品を販売することによって施設での生活費を生み出す、入居者の生活に直結する活動をされました。手芸作品を制作するおばあさまも、自分の手芸作品によって生活費を生み出せることに、喜びや遣り甲斐を感じていらっしゃるそうです。

ボランティア活動に携わってくださった皆様への感謝の気持ちを込め、かとれあ会より感謝状をお渡しいたしました。一年間、誠にありがとうございました。

 

一年間をふり返り、記念撮影

感謝状を贈呈
 

2024年度バザーサポーター説明会

 

2024年度のバザーサポーターには、10名が立候補してくださり、2月20日 (火) に説明会を開催し、作業内容の説明を行いました。

説明会の後は、気軽に作れる手芸作品のご紹介として、かとれあ役員によるつまみ細工講習会を行いました。和気あいあいとした雰囲気の中、皆さま手際よく素敵な作品を制作されました。

バザーサポーターの皆様のご尽力により作られる手芸作品は、毎年チャリティバザーの目玉の一つであり、バザー開場後、手芸作品ブースには人だかりができるほど大変人気があります。どんな素敵な作品を拝見できるか、楽しみにしています!

次年度のバザーサポーターの皆さんと

 

つまみ細工作りを体験

できあがったつまみ細工

能登半島地震災害支援リサイクルバザー

 

2月24日 (土)、かとれあ会は日本人会会館にて能登半島地震災害支援リサイクルバザーを開催しました。今回のバザーでは、皆様からお寄せいただいた寄付品の販売を通じて、RM4,200もの義援金を集めることができました。収益金は、KL日本人会を通じ、日本赤十字社に「被災地全域への寄付」として寄付いたします。地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、義援金が、今なお厳しい避難生活が続く被災者の方々の一助となることを願っています。

リサイクルバザーのために寄付品をお寄せくださった皆様、ご来場くださった皆様、ありがとうございました。

沢山の寄付品が並びました

開場後の賑わい
 

早期の復興を願って
 

 
 

 

JICAだより
<創設期から将来へと続くマレーシ海上法令執行庁との連携協力関係>

JICA専門家 立石 良介

 私は、2021年から、第7代の長期専門家としてマレーシアに勤務しております。マレーシア海上法令執行庁 (Malaysian Maritime Enforcement Agency、通称MMEA) 本庁で外国として唯一事務室を手配してもらい、現地職員と共に机を並べて仕事する、海上保安アドバイザーとして指導及び助言を行っています。

 国際協力機構 (JICA) は、2005年に設立されたMMEAの創設以来、海上保安庁と連携し、海上保安官を長期専門家として派遣しています。技術協力プロジェクトを通じて、MMEAの組織基盤および運用体制の確立を始め、基礎的ならびに応用的な実務能力の向上、教育訓練能力の強化、地域連携の促進といった複数の段階にわたり、MMEAの能力向上を支援してきました。

海上保安庁巡視船との捜索救助通信訓練終了後、集合写真(筆者:左から3人目)

 具体的には、海上で行方不明になった船舶等を発見救助するための捜索救助技術、海上で転覆した事故船舶から救助するための潜水救助技術、違法操業漁船を逮捕するための追跡捕捉技術、犯罪を犯した者を安全にコントロールする制圧技術、犯罪の証拠を現場保全する鑑識技術等の海上捜索救助、海上法執行の多岐にわたる分野における技術指導等をMMEA職員に対して行なっています。また、MMEA職員を日本へ連れて行き海上保安庁で専門研修を受けさせ、最新の海上保安庁の技能を付与することも行なっています。

 

潜水救助技術の指導を行う海上保安官

犯人の制圧技術の指導を行う海上保安官

 

海上捜索区域設定方法の指導を行う海上保安官

違法操業漁船等への警告方法の指導を行う海上保安官

 

潜水研修終了後、集合写真(筆者:後段右端)

日本専門研修中、MMEA研修員の集合写真

 

 こうした取組みを通じて、MMEAはASEAN内で最も優れた海上保安機関の一つとして成長していることが実感できます。またこの成果を生かし、マレーシア外務省とJICAが実施している第三国研修というスキームの基にMMEAと海上保安庁が共同で、フィリピン、ベトナム、インドネシア等のASEAN諸国、およびギニア、ケニア、ナイジェリア、タンザニア等のアフリカ諸国の海上保安機関に対する技術指導を行い、共に成長するパートナーシップを築いているところです。

 近年、日本政府は「自由で開かれたインド太平洋 (FOIP)」という外交政策を推進しており、海洋の安全保障、経済発展、法の支配の確立を軸に広範な協力を目指しています。この枠組みの中で、MMEAを含むASEAN海上保安機関への能力向上支援は重要な役割を担っています。この大きな時代の流れに伴い、今後も更なる連携協力関係が推進されることが期待されています。

 

 
 
今月のローカル食材​
<練り物と乾燥岩海苔のスープ>
 
 


料理講習会講師 ちはる

 

 

ローカルの練り物にはいろいろな種類があります。いずれも塩気が少し強いので、そのままで食べるよりスープなどに入れると美味しく食べられます。

今回のレシピは、練り物の旨味と塩味を生かしたスープ。具材に乾燥岩海苔を使って磯の香りも楽しみます。準備に5分、調理時間はわずか10分で、簡単に優しい味わいのスープが出来ます。ぜひ毎日の献立に取り入れてみましょう。

🍳  材料 2人分

  • 水 800CC
  • 乾燥岩海苔 7g
  • 練り物 70g
  • 木綿豆腐 1丁
  • 乾燥湯葉 20g
  • 生姜パウダー 小さじ1/6
  • 緑豆はるさめ 少々
  • 小ネギ 20g (小口切り)
 調味料
  • ローカル醤油 大さじ1.5
  • ナンプラー 大さじ1/2
  • 塩 小さじ1/6
  • 白胡椒 少々

乾燥岩海苔

乾燥岩海苔は水で軽く洗い、水気を切っておく

乾燥湯葉

 

練り物と豆腐は一口大にカット

練り物は形状によってフィッシュケーキ、フィッシュボール、フィッシュペーストと呼ばれる

ローカルの湯葉はパリパリで割れやすい。指先で適当な大きさに割る


🍳 作り方

①小ネギ、調味料以外の材料を鍋に入れる

②沸騰してから中火でさらに5分煮る (練り物から出汁が出る)

③胡椒以外の調味料を入れ、数分煮たら小ネギを入れる

④容器に盛り付けた後、白胡椒をふる

 

*このシリーズで紹介して欲しい食材や調味料・スパイス等あれば、事務局までお寄せください。office@jckl.org.my

 

 

 


今月の漢方
<花粉症と漢方>

 

 


国際中医薬膳師/中医実習生  坪井良和

 春になると、花粉症を始めさまざまなアレルギー症状に悩まされる方が増える。アレルギー反応に起因する体の不調は、何度も再発し完治までの過程が長いことが多く、厄介だ。東洋医学の経典『黄帝内経』では「正気存内、邪気不可干。邪之所凑、其気必虚 (生命力・自然治癒力が備わっていれば病気になることはない。病気にかかるのは、その自然治癒力が衰えているからだ)」という。生来の虚弱体質もしくは生活環境や習慣によって、五臓六腑の中でも特に肺と腎の機能が弱くなると、病気のもととなる風、寒、燥、火、湿といった邪気への抵抗力が弱くなり、本格的な疾病の前駆症状としてアレルギー症状があらわれると考えられている。東洋医学では、不快な症状を抑えるだけでなく、体全体のバランスを整えながらアレルギー症状の起きない体質への改善を目指す。

 とくに春は変化の季節。日々の寒暖差に加え、日本人にとっては生活環境の変化が大きい時期でもある。さらにいえば、身体の不調を引き起こすさまざまな邪気の中でも、春は風の邪気「風邪」が最も活発になるのだが、風邪は病態が変化しやすく、体表や上半身に症状を起こしやすい。春のアレルギーに鼻水や目や皮膚の痒みといった症状が多いのはそのためだ。

 アレルギーはその人の持つ潜在的な不調 (自然治癒力が衰えている状態) が、邪気という刺激によって誘発された病状なので、中医的アプローチはまず、その人の体質を見極めることから始まる。体質が熱性 (体を冷やすと不調が改善する) なのか、寒性 (体を温めると不調が改善する) なのか。主症状は呼吸器系 (関係する臓器は肺と腎) か、皮膚粘膜系か (肺と大腸、脾胃)、目や耳など五感の不調やイライラや不眠など精神的症状をともなうのか (心、肝)。

 たとえば、透明で水のような鼻水が止まらない、くしゃみが止まらない、入浴後や食後は症状が緩和するという場合には、小青竜湯ショウセイリュウトウ。冷えた体を中から温めることで水分の代謝を促す効果がある。普段の生活でも、生ものや冷たい飲食を避け、体を中から冷やさないことが大事だ。同じ鼻水でも、黄色や緑色で粘り気があり、鼻が詰まって、頭重感をともなう、慢性化して治りづらい場合には、荊芥連翹湯ケイガイレンギョウトウ。体の余分な熱をとりながら潤いも補給し、さらに薬効を頭部に集中させる働きがあり、鼻の通りを良くしてスッキリさせる効果がある。消化の良いものを食べて水分を補給し、さらに軽い運動をして気をめぐらせ、溜まった膿や痰を汗などの排出物として外に排出しやすくするとよい。また、特に呼吸器の症状はないが、春になるとイライラしやすくなる、皮膚の乾燥と痒みが強い、不眠を伴うという場合には黄連阿膠湯オウレンアキョウトウ。体の潤い成分の中でも、血が足りないことで熱の症状が上半身に強く出ているのが原因。アサリやカキなどの貝類、レバー、豚肉、卵、黒ゴマなどを積極的にとったり、日頃のストレスを上手に発散させるように努めると、薬の効き目を高めるだろう。

小青竜湯:喘息にもよく使われる処方の一つ。体内に滞った水分の排出を促す作用がある

荊芥と防風:この2種の生薬は風の邪気への特効薬。熱性感冒や皮膚のかゆみ治療によく使われる

黄連阿膠湯:卵黄が使われる珍しい処方。卵黄によって心と腎の均衡を回復させる効果があり、イライラや不眠に効果がある
 

 今回挙げた漢方薬は日本でも手に入る漢方製剤。日本の漢方製剤には適応症状例が細かく記載され、薬剤師はもちろんドラッグストアの登録販売士も詳しい説明とともに最適のものを紹介してくれるので、鼻水鼻づまりといっても自分がどのタイプなのかを相談して購入したいものだ。マレーシアで買い求める時も、ぜひ店員に相談してほしい。マレーシアでも、生薬や漢方製剤を置いている店には中医師の常駐が義務づけられているし、店主や販売員も基本的な体質判断に知識があることが多い。英語や、時には簡単な日本語も操る若い中医師も増えているので、ぜひ頼りにしたいものだ。アレルギーをきっかけに自分の体質を知り、症状を誘発させないための対策を日常生活に取り入れることで、次のシーズンを過ごしやすいものにすることができるし、重篤な疾病の予防にも繋がる。
 

 
 

 

KL日本人墓地<春季慰霊祭の報告>

 

 

3月10日 (日)、広島県呉市・浄土寺副住職の良輝和尚をお招きし、KL日本人墓地において春季慰霊祭が行われました。当日は約60名の方が参加され、髙橋特命全権大使とJCKL白石会長のご挨拶、読経、焼香、法話と続き、その後は参列者全員で慰霊碑に献花をしました。墓前には線香とお花を手向け、今年の春季慰霊祭は滞りなく終了しました。様々な理由でこの地に眠られた邦人先駆者と、このKL日本人墓地を護ってきた多くの先達を偲ぶ機会となりました。

このKL日本人墓地は開設127年の歴史を有し、1,600 名を超える先人が眠っています。戦前のからゆきさん、戦中・戦後の旧日本軍の軍人さんらが埋葬されています。マレーシア全体としては、30か所以上もの地に日本人ゆかりの墓地や慰霊碑が点在しています。

次回、秋季慰霊祭は9月8日 (日) に実施予定です。

良輝和尚による読経

参列者全員で記念撮影

慰霊碑に献花される髙橋大使御夫妻

墓前供養
 

 
 


出産準備教室

第77回出産準備教室が、2月22日(木)、3月7日(木)、9日(土)の3日間、看護師などの資格を持つ会員ボランティアの方々の協力により開催されました。今回は12カップルものご参加を頂き、最近においては最大の参加人数となりました。
講義の他にも、マタニティヨガや沐浴体験も行われました。また以前に教室に参加され、当地で出産された3家族より体験談を伺うことができました。病院での手続きのことや出生届の提出のことなど、実際のリアルな体験を直接聞ける機会となりました。

 


頂いた感想の一部を紹介します。

  • 講義全体の雰囲気はとても良く、同じくらいの予定日の方と知り合うことが出来たので参加して良かったです。
  • 出産された体験談を聞いて、色々トラブルや緊急なことも想定しておこうと参考になりました。
  • 日本の母親・両親学級に参加できず不安だったので、マレーシアでこういった教室があるのはすごく安心につながりました。

 

 

次回の日程は決まり次第 HP 等にてお知らせします。
詳細はこちら
 


はぐくみ会


 

 

3月6日 (水) に開催されたはぐくみ会では、9名のお子さんにご参加頂きました。
この日のテーマはおひなさまとのことで、女の子だけでなく男の子も、かわいい手作りおひなさまを作りました。形に切ってあるカラフルな紙を、紙皿の上にシールのように貼って、最後に目や口をペンで描いて完成。お母さん方が作っているところを、興味深く見ていたり、一緒にやってみたり楽しく作ることができました。
最後にひなまつりのお話の絵本を聞いて、雰囲気を楽しむことが出来ました。


 

 

 ◎次回活動日  
4月のはぐくみ会はお休みです。

5月8日 (水) 10:00~11:30
子どもの日  手形・足形を取ろう(予定)

詳細はこちら

 


えっ!マレーシア  <赤い小さな祠>

 

 

 

マレーシアの街中では、赤い小さな祠を目にすることがよくある。華人の宗教的なものであることは想像がつくが、いったい何を祀っているのだろうか。

気に掛けるようになると、赤い祠はあちこちに置かれていることに気付く。神社仏閣のミニチュアのような瓦屋根のある立派なものから、地面にコンクリートで固めただけのシンプルなものまで様々だ。コンドミニアムの敷地の最奥あたりや、5つ星ホテルの駐車場の角にまで、様々な所でひっそりと佇むように置かれている。これらの祠は、その土地の神様を祀っているものであり、長い髭を蓄えた神像が鎮座していたり、石板に平安を願う文字が刻まれていたりする。そして、線香にオイルランプ、果物などが供えられ、その土地の安全と繁栄を願う拠り所として、人々に大切にされている。

 

そして、商業施設や住居の敷地以外でも祠は多く見られる。公道の道端に置かれる道祖神も、地域の安全と発展を願って祀られている土地の守護神である。

こうした風習が根付いた背景には、中国古代の神話、思想、信仰などがあると考えられる。華人の宗教の分かりにくさは、時に多神教の道教に仏教が融合し、さらに儒教や民間信仰までも取り込んで複雑になっていることにある。家庭にある神棚に、道教の神様、お釈迦様、土地神様と、神像を三体並べて祀ることも一般的だ。

 
JCKLニュースレター
【編集委員】
  • 柳井 教男(編集長)
  • 松尾 義裕(副編集長)
  • 勝田 羊奈子(編集委員)
  • 木村 もと(編集委員)
  • 澤村 文江(編集委員)
  • 安松 英子(編集委員)
  • 工藤 詩子(かとれあ会)
  • 齋藤 紀子(かとれあ会)

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