医療・健康管理

医療・健康管理
 
 
 

マレーシアの病院

マレーシアには、公立病院や私立病院など数多くの病院がある。公立病院は、待ち時間が長いものの料金は安く、医療設備もよく利用価値は高い。小さなクリニックもたくさんあり、料金が手ごろである。どちらも、日本語サービスがない場合や保険の申請が困難な場合がある。

クアラルンプール近郊の私立総合病院・クリニック

先ずは、マレーシア病院情報のページを参照していただきたい。

このページには日本語サービスを備えた、私立総合病院またはクリニックが掲載されており、いずれも多くの日本人の利用実績がある。 総合病院とは、殆どの診療科を備え、また24時間の救急外来と、入院のための病棟設備があるものを指している。

 

健康診断



私立総合病院・クリニック一覧を参照し健康診断の欄をご参照ください。一般には、男女別、年齢層別にお勧めの各種健康診断パッケージが用意されている。この私立総合病院・クリニック一覧中にある病院の健康診断のリンク先を参照して健康診断パッケージの内容を確認し、日本語サービスを利用して予約を行うとよい。さらに日本語サービスでは、健康診断の内容等についても相談に乗ってくれる場合が多く、また結果を日本語で聞けるかどうか等々も病院によって事情が異なるので、詳細については電話で確認した方がよい。

救急外来

高熱が出たり、強い痛みがあったり、緊急を要すると考えられる症状の場合は、24時間の救急外来を一刻も早く躊躇わずに受診する。自宅で突然の病状や怪我となれば、自分自身か家族の誰かが突発事態に対応する必要があるので、其の場合のシミュレーションをおこない、日頃より下記のことを準備し心構えをしておくことをお勧めする。

  1. 私立総合病院・クリニック一覧を参照し、平常時に自宅近くの救急外来のある総合病院へ運転をしてみて、実際の道順と救急外来の車両入口を確認しておく。また、心配であれば、該当病院の日本語サービスを利用し、救急外来の利用の注意があれば聞いてメモしておく。
  2. 重篤となる前に、自分でなんとかタクシーで病院に行ける症状のうちにできるだけ早く受診する。
  3. 近所や周りにいざというときに助けてくれる友人・知人をつくっておく。
  4. 可能なら受診する病院の日本語サービス(時間帯が許せば)に電話して、救急外来をいまから受診することや病状を伝えておく。
  5. 家族や知人に運転してもらうか、タクシーでいち早く受診することをお勧めする。救急車を呼んでも、日本と違い時間がかかる場合が多いからである。また、自分で運転するのは、絶対に避ける。急患を搬送する場合はハザードを点滅させながら、渋滞地点ではクラクションを鳴らして緊急搬送中であることを廻りに伝えて運転する。
  6. 選択肢がないときは、救急車を呼ぶことになる(交通事故・緊急連絡先のページもあわせてご覧ください。)。民間会社の救急車は有料であることに注意する。コンドミニアムであればガード(守衛所)に電話し、部屋番号と救急車を呼んだことを伝え、救急車・救急隊を誘導してもらう。なお999で救急車を呼ぶと、近くの国立・公立病院に搬送される。。
  7. 保険会社のキャッシュレス受診カード、クレジットカード等を忘れずに持参する。治療内容によっては高額の支払いが必要になることもある。

一般外来

私立総合病院・クリニック一覧を参考にしたり、あるいは知人・友人の評価や評判から、適切と考えられるドクターを探し、予約をおこなう。一度受診してみて、気になる点や疑問があれば、ドクター本人に確認したり日本語サービス等に相談したりして、他のドクターからセカンドオピニオンをもらうのも一向にさしつかえない。、セカンドオピニオンをもらうことによって、良いドクターに巡り合うことが肝心である。病状が長引く場合は、セカンドオピニオンを聞きに行くことをお勧めする。

ドクターによってはいくつかの病院やクリニックを曜日によって掛け持ちしている場合がある。また持病や既往症があり、日本で投薬を受けていた薬がある場合は、現物を持参しドクターに見てもらうこと。

処方投薬



総合病院やクリニック内の薬局で薬を処方してもらうのが一般的であり、安心できる方法である。投薬代を節約したい場合は、処方箋を町の薬局にもっていって値段を確認してみるのもよい。きちんとした薬局で、値段が相応に安ければ、慢性の既往症の場合は、外部の町薬局を使うという手もある。また、日本と違いマレーシアでは、処方箋がなくても薬局でほとんどの薬を買うことができる。必要に応じて、病院内の薬局・薬剤師のいる薬局・薬剤師のいない薬局を使い分けると言い。

歯科治療

歯科クリニックの場合は、一般の病院やクリニックほど日本語対応が充実しているわけではない。また、日本語の堪能な歯医者も残念ながら殆どいない。日本語が通じるか、日本人の居住地域に比較的近くショッピングコンプレックス内で利用に便利であり、かつ日本人の利用実績のある歯科クリニック情報を参考にする。治療を受ける場合は受診前に早めに予約をいれるようにする。英語に自信のない方は、日本語サービスのある私立総合病院・クリニック一覧の私立総合病院の中にある歯科クリニックを受診することもできる。

マレーシアには虫歯、歯周病の予防をはじめ、歯列矯正治療、インプラント、ホワイトニング、根幹治療など、満足のいく高度な技術を持つ歯科医がいる。「治療は日本に帰った時に」などと決め込まず、日頃から自分にあった歯科医を探し定期健診などをしておくことをお勧めする。根幹治療などの技術はかなり高度と言える。また、歯列矯正費用は日本よりはかなり安いようである。

感染症と予防接種

*A型肝炎
保菌者の作った食べ物を食べたり、同じ皿から食物をつまんでも感染する可能性あり。魚介類、生水からも感染。潜伏期間は2~6週間。風邪のような症状が出る。年を取れば取るほど症状は深刻化し、劇症肝炎になりやすい。予防接種が有効で3回接種する。

*B型肝炎
性行為によるものが増加、また注射針、床屋のカミソリでも感染。潜伏期間が長く、感染しても8割の人は発症しないままで保菌者となる。発熱と共に全身に強い疲労感、B型から劇症へと進行するケースでは死亡率が極めて高くなる。また、完全に治療しないと肝癌へと進むこともある。予防接種が有効で3回接種。

*結核
ツベルクリン検査を受け、その結果陰性ならばBCGを受けた方がよい。

南国特有の病気

*デング熱
デング熱の初期は38~40度の高熱が続き、風邪に似た症状である。次第に関節や筋肉の痛みを伴い、倦怠感が大きいが、判断の難しい感染症である。麻疹(ハシカ)のような発疹が出た時にはデングウイルスが血液中の血小板を破壊し、出血し易くなってしまうので安静が必要。発疹だけでなく重症の場合には胃腸や脳の中での出血もある。

特効薬はなく、対症療法が施される。判断が難しいとは言え、何よりも大事なのは早期発見であり、大人の場合は3日以上、幼児の場合は2日以上高熱が続いた場合には血液検査をしてもらうことが望ましい。血小板の数がある数値より減少してきたら入院して安静にすることが必要である。この病気を防ぐためには何よりもこの病気を媒介するエーデス蚊に刺されないようにすることが有効である。ついてはデング熱の原因となるこれらの蚊の繁殖を防ぐのが最も大切。そのためには家の中や周囲に水を溜めないようにしたい。潜伏期間は3~7日程度でデングウイルスには4種類があり一度かかったと言って免疫ができたと思うのは早計だ。2度目の時は症状が重くなるケースがあるので特に注意する。

デング熱についてのヘルストークをKL日本人会にて定期的に開催しておりますのでぜひご参加ください。

*食中毒
O-157腸管出血性大腸菌、赤痢、アメーバ症、腸チフスなどがあげられる。水道や下水道の不備、外国人労働者の急増に伴う衛生管理の悪いスラムの増加等が原因とされる。生ものには十分な注意が必要である。

医療保険

企業・団体の派遣員の場合は、それぞれの社内のシステムにより付保される場合が多く、そのシステムに従うが、よく確認しておく必要がある。個人の意思で滞在しようとする(セカンドホーマーなど)場合は、ご自身の医療保険の加入について検討し、選択しなければならない。

*現地の医療保険については各社あるが、会社によって付保審査基準や更新の手続き、年齢制限などが異なるので、日本の保険会社が提携している現地保険会社を選んで、日本人出向者からしっかり説明してもらうことがお勧めだ。一般的には60才以上は付保できないか料率が上がるようである。

*日本の制度医療保険(国民健康保険など)については、日本に住民票があり、国民健康保険、介護保険を払い続けていれば国民健康保険の資格がそのまま残る。この保険は海外(マレーシア)での疾病・傷害の治療に適用される。(本人立替の後、保険金交付手続きをすれば銀行振込みをしてくれる。)他の保険にないメリットとしては成人病などの慢性病を無制限に担保してくれる(他の保険では6か月程度)。日本の保険の求償手続きに必要な医師の証明書を作成してくれるかどうかは、日本語サービスで確認するとよい。

*海外旅行傷害保険の場合は病院によりキャッシュレスになるなど便利であるが、上記の慢性病の場合の6か月程度、高齢者の保険料が高くなるなどの点を注意。

クアラルンプールの医療レベル

日本人が海外に滞在するに当たって、最大の関心事の一つは健康医療サービスのレベルであるが、クアラルンプールについては次の点が特筆できる。

  1. 日本の大学の医学部を卒業後、さらにマレーシアにて医師免許を取得した日本語の堪能なマレーシア人のドクターがいる病院もある。
  2. KLの私立総合病院・大規模クリニックでは日本語対応の体制が確立している。
  3. 英語に堪能な英系の留学歴のあるハイレベルな医師も多い。
  4. 各種医療検査設備が高いレベルにあり、これらが一般の健康診断にも容易に利用できる。

一般医と専門医

*一般医
マレーシアでは一般医(”GP” General Practitioner)と呼ばれるドクターが総合病院やクリニックにいて、比較的軽い一般的な症状、頭痛、発熱、軽い皮膚疾患、下痢などに対処する。救急患者として病院の急患窓口で診てもらうのも一般医である。

*専門医
一般医と違いそれぞれの専門分野を診るドクターの総称で専門医(Specialist Doctor)と呼ばれる。専門医は総合病院やクリニックに部屋を持ち、週に何回か時間を決めて診断するシステムをとっていることが多く、病院の高度な精密検査機器などを利用して診断をしてくれる。

伝統医療

中国の長い歴史に培われた漢方や整体など特徴をもった病院、免疫力を高めるための治療、あるいはインドの哲学も含んだアーユルヴェーダ等、西洋医学とはひと味違った医療がマレーシアでは受けられる。

*中国系漢方
中国系の医療には手首で脈をとり漢方薬を処方してくれる薬局や鍼灸治療、または血液の循環をよくして身体の免疫を高めるマッサージ中心の治療などいろいろとある。中国系のマレーシア人は自宅の近くにある薬局で薬を調合してもらっているようである。

*インド系アーユルヴェーダ (Ayurveda)
インドの伝統的な学問で、その名はサンスクリット語の「アーユス (Ayus:生気、生命)」と「ヴェーダ (Veda:知識)」の複合語である。現代でいう医学のみならず、生活の知恵、生命科学、哲学の概念も含んでいる。五千年以上の歴史があり、チベット医学や古代ギリシア、ペルシアの医学等にも影響を与えたといわれており、インドの占星術とアーユルヴェーダも深い関わりがあるとされている。

覚えておきたい医療用英単語

たとえば、夜間に救急外来を受診すると、日本語の通じないマレーシア人のドクターが診療し、日本語サービスは期待できないので、何とか自力で病状を説明する必要に迫られる。従って、もし既往症がある場合、潜在的にリスクがある病気がある場合は、それに関連する英単語はメモしておくか、覚えておく。

覚えておきたい医療用英単語(PDF)